rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月4日 金正恩白頭山革命戦績地を視察。党中央委全員会議の12月下旬召集を決定

 

 4日、金正恩が騎馬で白頭山に登頂し同地の革命戦績地などを見てまわったこと及び党中央委員会全員会議の「12月下旬召集」が決定されたことが報じられた(招集決定の日付は3日)。

 今回の白頭山行は、軍高官を多数帯同したこともあり、そうでなくとも米朝交渉の「年末期限」に注目している向きからは、同交渉の決裂を見越した「新路線=対外強硬路線」の提起を予想する声が噴出している。

 しかし、金正恩白頭山行に関する報道や彼のその前後の行動などを子細に見ると、むしろ、国内の引締めに向けた狙いがうかがわれる。

 本日は、都合で長く書けないので、結論だけを述べると、金正恩の狙いは、今後、「革命の指揮成員」から青年層に至るまで幅広い層を対象に、白頭山での「革命伝統教養」を抜本的に強化し、もって「革命の艱苦性と長期性」に対応する国内体制を整備することにあるとみられる。つまり、制裁が相当期間持続することを前提に、そのような中で「自力更生」を継続できるよう、国民の精神武装を強化することを目指しているのであろう。

 党中央委員会招集も、そのような流れの中で決定された(決定した常務委の主なメンバーは、決定当日、金正恩以下、皆三池渕郡付近にいたとみられる)ものである以上、そのような方針の具現化のためと考えられる。

 もちろん、瀬戸際戦術は、北朝鮮の「十八番」であるから、今後、対米交渉絡みで何らかの「圧迫」策を打ち出すことは十分考えられる。しかし、それは、あくまでも交渉戦術であり、金正恩の基本的狙いは、「自力更生」による経済建設の推進、当面は来年が最終年度となる「国家経済発展5か年戦略」の完成にあると考える。