rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月1日 社説「すべての勤労者達よ、英雄的闘争歴史と伝統を輝かせ正面突破戦の進撃路を力強く切り開いていこう」

 

 標記社説は、メーデー北朝鮮では「労働節」)を記念したもので、前半で北朝鮮の勤労者の特性をいくつか挙げて称賛し、後半では、その課題を訴える内容となっている。ちなみに、北朝鮮において「勤労者」とは、労働者、農業勤労者(協同農場の農民)、科学者・知識人を総称する意味を持つようである。

 特性の最初にあげられているのは、「党の思想と偉業に無限に忠実な真の革命家である」ことである。「党中央と結んだ情を血脈のように大切にし、いつどこでも党の思想と領導に無限に忠実な真の立派な革命家の大部隊」と称賛している。

 次は、「自力更生の革命精神を体質化した奇跡と革新の創造者である」ことである。「敵どもが悪あがきすればするほど、試練と難関が重なれば重なるほど我が勤労者の民族自主、民族自存の精神力はより昇華される」と主張している。

 最後は、「誰かが見ていてもいなくても、分かってくれてもくれなくても、祖国の繁栄に真に貢献する熱烈な愛国者である」ことである。

 そのように称賛した上で、求める課題は、次のようなものである。まず、「敬愛する最高領導者金正恩同志の思想と領導を忠実に奉じていく」ことである。「いかなる風波が押し寄せても自分の領導者だけを絶対的に信じ従う熱血忠臣にならなければならない」と訴えている。

 次の課題は、「白頭山精神で完全武装し、今日の正面突破戦において主体朝鮮勤労者の革命的気概を高く轟かせる」ことである。すなわち「白頭戦区(で戦った抗日闘士の戦いぶり)を常に胸の中に抱き、社会主義強国建設の戦闘場ごとで生産闘争、突撃闘争、創造闘争を力強く繰り広げなければならない」との訴えである。なお、ここでは、そのための具体的取り組みとして、「集団的革新、集団的競争」とともに「科学技術普及室の運営正常化」が上げられているのが注目される。

 最後は、党組織への要求といえようが、「(勤労者に対する)思想事業をより強化すること」である。なお、ここでは、それと同時に、「勤労者達の事業上の隘路と生活上の苦衷を実母の心情で解決してやり、彼らが本来任務遂行に専心し全力を尽くせるよう」配慮することも求めており、興味深い。

 後段の課題を見ると、前半の内容と重複している点もあり、また、これまでの宣伝内容などと併せて勘案すると、ここで特性として称賛されている内容は、実は、かくあってほしいという理想形を示していると見るのが妥当であろう。

 それにしても、世界広しといえども、メーデーに際し、勤労者に国家の指導者の「熱血忠臣」たることを求める国も珍しいのではないだろうか。