rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月25日 社説「内的潜在力を総発動し経済建設大進軍を推し進めよう」(26日部分改定版)

 

 標記社説は、「内的潜在力を総発動」、すなわち「すべての幹部と党員と勤労者」が「あらゆる予備と可能性を最大限に探求動員」するための方策として、5点を掲げ、その実践による経済建設の促進を訴えるものである。

 第一は、「すべての人民が熱烈な愛国心を抱いて、この事業に一体となって奮起する」ことである。そのためには、「誰もが祖国のための仕事に汚れない良心と知恵と熱情を惜しみなく捧げなければならず、良いことを自ら探して行う愛国的素行を高く発揮していかなければならない」とされる。

 第二は、「技術革新運動を全群衆的に力強く展開」することである。その中で「幹部は科学的な経営戦略、企業戦略を立て、実利を徹底して確かめ、労力と資材、資金を効果的に動員利用し生産を絶え間なく増大させなければならない」とされる。

 第三は、「再資源化事業に大きな力を注ぐ」ことである。そのため「すべての機関、企業所、団体は、生産過程で出される廃棄排泄物を漏れなく回収し種類別に選別し、新たな生産資源として利用する事業を力強く展開しなければならない」とされる。

 第四は、「節約」である。「節約はすなわち増産である。節約するだけ国の財富が増えることになる」と主張される。また、この文脈で「質向上に特別に力を注ぎ、再生産(作り直し)、再施工による浪費現象を徹底して無くす」ことも求められる。

 第五は、「党組織の役割を高める」ことである。そこでは、当該機関・単位の以上のような取組みを党として指導・督励していくことに加え、思想面において「人々の精神力と自体の発展潜在力を見ることができず、上(からの支援)ばかり仰ぎ見たり、(事業遂行に必要な)条件が保障されるのを座って待つような現象と強い闘争を展開」することが求められている。

 以上の要求のうち、第二から第四は、経済的合理性に即したものであり、同様の要請は(水準の違いはあれ)日本の企業においてもなされうるものといえよう。また、第五は、党機関紙の社説の主張としては、いわば当然の事項である。

 一方、第一の要求については、もちろん関係者のモチベーションが重要であることは理解できないではないが、これほどまでに「愛国心」を強調するのは何故なのかに関心がもたれる。それほどの献身がなくては打開できないほどの苦境に直面しているのか、あるいは、それぐらい言わないといけないほど勤労意欲が低下ないし人心が荒廃しているのか、あるいは北朝鮮特有の常套的な修辞に過ぎないのか、一考に値する問題であろう。