rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

6月19日 対韓関連記事まとめ

 

 標記については、まず、「活火山のように噴出する我が人民の報復聖戦意志日が立ち時間が過ぎるほど背信者とゴミどもに対する憤怒は一層激昂してくる」と題して、各界からの投稿文が掲載されている。投稿者は、内閣事務局1部長、興南肥料連合企業所副支配人、、女性同盟中央委員会部長、平壌出版印刷大学副学長、中央裁判所参事である。この記事には、平壌のバスの車内及び金鉄柱師範大学の教室内の写真も添付されている。

 次に、記者が各界の反響をとりまとめた記事が3件ある。「前沿地帯で轟く声」と題して開城市板門区域及び高麗成均館の幹部らの声を紹介した記事、「峻厳な懲罰の鉄槌を」と題する退役軍人と「新世代兵士」の会話を紹介する記事(兵士は「人民の仇敵どもに些細な寛容も与えないでしょう。敢えて我々の最高尊厳とすべての人民を冒涜した代価を必ず受け取ります」と発言)、「再び哨所へ」と題して退役軍人同士の会話を紹介する記事(共に、再度前線に行って、ビラ散布に参加を希望との発言)である。

 「激怒した民心の爆発は歴史の必然」と題する情勢論解説は、「全国に復讐の火の手が活火山のように燃え上がっている。」とした上で、これまで韓国側が北朝鮮へのビラ散布を黙認してきたことを根拠に「我が人民が予告した対敵ビラ闘争を板門店宣言に対する違反であると主張する南朝鮮当局者の妄言は本末転倒」と主張し、「いま、我が人民たち、特に青年学生たちは、前線地帯へと駆け付け、最大規模の無差別ビラ散布闘争に電撃侵入する熱意にあふれている」として、大規模な対韓ビラ配布の実施を予告している。

 以上のような本日の報道からは、北朝鮮が盛んに主張する「報復」「鉄槌」というのは、当面、具体的には、南向けビラ散布活動を念頭においていると考えられる。

 他方、軍自体の活動については、先般の総参謀部代弁人発表の枠内で慎重に進めるとみられる。上記の各界の「反響」紹介などでも、軍人そのものの露出は最低限にとどめている印象があり、また、ここでの兵士の「発言」は、昨日に用いられたものとほぼ同一である。これらの点からも、軍の動向については、報道ぶりなどの面に至るまで、統制を徹底していることがうかがわれる。