rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月15日 評論「思想、技術、文化の3大革命は社会主義建設の戦略的路線」(7月18日訂正)

 

 標記評論は、北朝鮮の基本路線である「3大革命」についての考え方を示したもの。新味のある内容ではないが、確認のために要点だけ紹介しておきたい。

 まず、「思想革命」については、「人々の頭の中に残っている古い思想を根こそぎにし。彼らを自主的な思想意識、社会主義思想によってしっかりと武装させ、革命と建設において人民大衆の革命的熱意と創発性、精神力を高く発揚させるための事業」と説明する。単に考え方の変化を促すだけでなく、革命への献身にまで至らせることを目指していることが注目される。その今日的課題としては、「社会のすべての成員を白頭の革命精神を体質化した真の金日成金正日主義者として準備させること」と主張している。

 次に「技術革命」については、「生産力を発展させて人民の物質的福利を増進し、労働の本質的差異をなくし、勤労者を辛い労働から解放するための事業」と説明する。ここで、「労働の本質的差異」とは、知識労働と肉体労働の違いを意味しているのであろう。その今日的課題としては、「我が国の実情に合うよう生産工程と経営管理の現代化、情報化を積極的に推進すること」を主張している。ここでは、とりわけ「経営管理」「情報化」といった表現に今日性がうかがわれる。

 最後の「文化革命」については、「人々を古い文化の拘束から解放し、人民大衆のために服務する社会主義文化を創造し、すべての人々が社会主義的な文化生活を享有するようにするための事業」と説明する。その今日的課題は、「全民科学技術人材化を実現すること」であると主張している。「文化革命」の間口が相当広いにもかかわらず、ここで課題を「全民科学技術人材化」に絞って提示しているところに、最近の科学技術重視への並々ならぬ思いがうかがわれる。

 評論は、その上で、「3大革命を遂行する上で堅持すべき原則」として、「思想革命を確固として優先させつつ、技術革命、文化革命をみな推進すること」をあげている。

 以上のような「3大革命」を文字通り国を挙げた形でかつ恒常的に推進するための具体的制度が「3大革命赤旗獲得運動」である。同運動は、金正日のイニシアティブの下、1975年末に開始され、以後、経済部門のみならず、国家機関、学校、軍部隊なども含めて全社会的に取り組みが継続されており、思想・技術・文化に関する様々な指標を定め、それを充足した単位に対し、「3大革命赤旗」を授与して顕彰する制度である。党の各級機関には、この運動を指導する専門の部署が設置されており、同「旗」授与の判定などを担当している。ちなみに、2019年に同「旗」を授与されたの390余単位とされる(2回目、3回目の授与も含む)。