rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月23日 金正恩が建設中の光川ニワトリ工場を現地指導

 

 標記記事によると、同行者は、人民軍の朴正川総参謀長、金秀吉総政治局長と「中央委員会幹部」の趙勇元、金与正、玄松月、馬園春である(指導日は言及無し)。

 同工場の建設について、「全国のニワトリ工場を現代化する上で見本となり得る標準工場を党において直接受け持って建設することを決心し、強力な党内建設力量と人民軍軍人建設者を派遣」して推進されているものと説明している。

 また、その狙いについては、金正恩が「人民の食生活問題解決に実質的に寄与し得る工場として大きく期待」しているとして、「子供たちと人民に美味しくて栄養価の高い肉と卵をより多く送ってやろうとの我が党の理想」を強調している。

 このような報道が、最近の人民生活重視の流れに即したものであることはいうまでもないであろう。なお、同行者のうち、馬園春は、以前、国務委員会設計局長として知られていたが、聯合通信の人名データベースによると、党中央委の財政経理部副部長の肩書も有しているようで、今次報道からみても、その職責により同行したのであろう。それ以外に経済関連の同行者がいないことなどから推測すると、同工場の建設は、金正恩の直々の構想・指導により推進されているとも考えられる。それを受けて設計・施工監理などは馬園春指揮下の部署が担当し、労働力は事実上、軍がほぼ全面的に担当しているのであろう。

 ちなみに、金与正は、今次指導では同行が報じられたものの、その姿が写った写真は1枚しか掲載されていない。また、先般の平壌総合病院建設場への金正恩の現地指導に際しては、同行報道がなく、また報道写真にも姿がなかったが、ニュース映像ではその姿が映っていた。そこからうかがえるのは、同女についての報道が極めて抑制的になされているということである。組織指導部第一副部長という同格の立場にある超勇元との報道順序を見ても、5月の肥料工場完工式に出席した金正恩に両人が同行した際は、金与正の名前が先に報じられていたが、今回は後ろになっている。その変化の意味については、一つの仮説として、例の「ビラ騒動」で派手にやり過ぎたので、一時トーンダウン中ということも考えられなくもないが、もう少し慎重な検討が必要であろう。