rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

8月2日 評論「党建設と党活動の貴重な指針」

 

 本日の「労働新聞」には、「偉大な領導者金正日同志の党建設業績を限りなく輝かしていく信念と意志 偉大な将軍様の歴史的な8月2日労作発表記念日に際して」との共通題目の下、標記評論及び数件の関連記事が掲載されている。

 このうち標記評論は、冒頭、金正日が1974年8月2日に発表した「歴史的な労作は、党建設と党活動を徹頭徹尾、金日成金正日主義の要求どおり行う上で党組織が堅持すべき高貴な指針となる」とした上で、それに基づく今日的課題として次の3点を掲げている。

 最初は、「党組織が社会のすべての成員を金日成金正日主義者としてしっかり育て、革命隊伍の一心団結をより強化すること」である。

 次は、「行政経済事業に対する党的指導を教化」することである。

 最後に掲げられているのが「党事業の形式と方法を絶え間なく改善」することである。その具体的内容としては、「今日、党事業の斬新な発展は、党事業を親人民的、親現実的なものになるようにすること」をあげている。

 ただし、同評論は、この「労作」の題名を示していない。それは、この評論の後に掲げられた「社会主義建設を推動する威力ある武器として 各地党組織において」と題する記事の中で、金正日同志が普及の古典的労作『党事業を根本的に改善強化し、全社会の金日成主義化を力強く推し進めよう』を発表された46年周年」(強調引用者)として初めて言及されている。

 なぜ、評論は、この題名に直接言及しなかったのか。その理由は、「労作」が「全社会の金日成主義化」を標榜するものであったにもかかわらず、評論が今日的課題として掲げる内容は、「金日成金正日主義化」であったからではないだろうか。

 もとより、北朝鮮の公式イデオロギーでは、「金日成金正日主義」は、「金日成主義」を発展させたものと説明されているのであるから、そこに何ら矛盾はないはずである。しかし、現実には、両者を併記するのは、なんとなくはばかられる雰囲気があるからこそ、「労作」の題名が上述のような扱いになったと考えられるのである。

 その背景には、金正恩時代が始まるや否や、前述のような大義名分の下、「金日成金正日主義」を打ち出して、それまでの公式イデオロギーである金日成主義を事実上、換骨奪胎してしまった後ろめたさがあるのではないかとも考えられるのである(これは、まったくの私の独断・偏見です)。