rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

8月8日 「そのように人民の為にされる方は世間にいません」

 

 標記記事には、「敬愛する元帥様が銀波郡大清里一帯の洪水被害状況を現地で了解された知らせに接した人民たちの激情にあふれた声」とのサブタイトルが付されている。同記事によると、金正恩の洪水被害地視察に関しては、7日のテレビニュースで画像と共に繰り返し紹介された模様で、同記事は、それへの反響を紹介したものするものである。

 記事に記された人民の「感動ぶり」については、昨日のブログで予測したとおりの内容であるので、ここでの紹介は省略するが、視察が6日及び7日の二日間行われたことが明らかにされていることだけを指摘しておきたい。

 なお、そのニュース番組は、「我が民族同士」ホームページ掲載のものとみられるが、そこで示されている画像は、金正恩の視察振りを撮ったもの及び被災状況(進水した住宅地・耕地など)を撮ったものがそれぞれ数枚である。そのうち金正恩の視察振りは、大別して2種類ある。

 一つは、主に中年の女性幹部を相手に状況を聴取したり何かを指示したりしているもので、周辺に写っているのは、随行したとみられる趙勇元党組織指導部第一副部長ともう一人の人物(聯合通信によると金勇秀(音訳)党財政経理部第一副部長)と地元幹部らしき二人の男性だけである。おそらく6日の状況ではないだろうか。この女性幹部は、郡または里の党責任者と推測されるが、髪のパーマが強烈で履物もきゃしゃな感じで、何かそぐわない印象がある。一方、男性幹部は、後ろに控えている感じで、金正恩の発言中もメモをとらないなど、何か呆然としている印象がある。金正恩が女性幹部と話しながら煙草を片手にくゆらせている場面もある。

 別の数枚は、金正恩が車中(運転席)から身を乗り出して群衆と対面している場面及び車の運転席に座ったまま、窓の外の男性6人(2人は前記の随行幹部、4人は地元幹部と推測される)になにごとかを指示している光景である。前者は、構図的に不自然で合成ではないかとの印象を受ける。後者も、何故、車から降りないのか、よくわからない。これら写真から、聯合通信は、金正恩が自ら車を運転したのではと推測しているが、果たしてどうか。敢えて運転席に座って、その写真を撮らせた可能性も否定はできない(どうでもいいことだが)。

 いずれにせよ、これら写真については、ニュース番組の中で紹介されただけで、「労働新聞」には掲載されていない。また、7日の現地視察についても、6日のものとは別途に改めて報じてもよい(その方が金正恩が頑張っていることをよりアピールできる)と思われるが、これまでのところ、上記記事の中で間接的に報じるにとどまっている。