rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

8月10日 「洪水被害を蒙った銀波郡大清里人民が受け抱いた本当の親の愛」

 

 標記記事は、金正恩が去る6日、7日の洪水被災地視察の際に指示した「国務委員長予備糧穀」が9日午前、銀波郡に到着し、同地で「敬愛する最高領導者金正恩同志が黄海北道銀波郡大清里人民に施して下さった配慮を伝達する集会」が「銀波郡と大清里の幹部たち、農業勤労者達が参加」して開催されたことを伝えるものである。

 同集会では李日愌党副委員長が「伝達辞」を述べ、続いて「討論」が行われたとされる。討論者の氏名などは報じられていないが、添付された写真には、金正恩視察時に現場で状況等を報告していた女性幹部らしき人物が演壇で万歳をしている姿が写されており、同人が同郡の党委員長ではないかと推測される。

 なお、同記事は、昨日に掲載された開城市への支援物資到着、伝達集会開催を伝える記事(昨日付け本ブログ参照)とほぼ同じような流れで記述されているが、そこで使用されていた「党中央」との表現は、一つも用いられていない。開城市への物資送付は、党中央委政務局会議の決定に基づくものであるのに対し、銀波郡への食糧支援は金正恩個人の指示に基づき、「国務委員長予備糧穀」から供給されたものであるから、「党中央」は関係ないためとも言えるが、一応指摘しておきたい。

 また細かいことだが、同記事によると、金正恩の過日の視察は、2日連続のもの(つまり2回往復)であった、とのことである。韓国報道機関は、「6日、7日」とされたことから無条件に「1泊2日」としていたが、安易な決めつけであったということになる。

 このほか、本日の「労働新聞」には、「革命軍隊の本来の姿を誇示して 銀波郡大清里被害復旧に奮い立った人民軍軍人たち」と題する写真付きの記事も掲載されている。

 一方、コロナ防疫対策についても、ほぼ従前と同様の報道がなされ、各分野において力を緩めることなく取り組みを続けていることが強調されている。