rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

11月3日 「朝鮮労働党第8回大会に向けた全人民的攻撃戦において突破口を開拓 80日戦闘に総邁進した全国のすべての部門、すべての単位で初月目標遂行において成果達成」

 

 標記は、「朝鮮中央通信報道」として本日の「労働新聞」に掲載されたもので、「80日戦闘」の10月末までの成果を主要目標ごとに報じている。

 初めに、コロナ防疫活動に関し、「非常防疫事業がより強化された」状況を伝えている。

 次に、自然災害復旧活動に関し、「全国的に2,000余世帯の現代的な住宅が新たに建設」され、「30余の橋復旧、70余の河川整理、10余の貯水池工事、50余の灌漑水路・構造物復旧工事」が終了したことなどを伝えている。

 農業分野に関しては、全国的に「稲、トウモロコシの収穫をすべて終え、脱穀が74%」終わったとしている。穀物生産高の見込みに関しては、いっとき「最高収穫年度」並みとの見込みが示されていたが、同記事中には具体的な言及はない。その見込みが揺らいでいるためか、記事が10月中の取組み成果に関するものであるためかは定かでない。

 最後に本年度の計画課題達成状況について、主要建設対象と経済各分野の生産状況が紹介されている。前者に関し筆頭にあげられているのは、「金野江2号発電所が我が国の中小型水力発電所の模範として立派に竣工」したことである。

 後者については、総論的に「電力、鉄鉱石、鋼鉄、石炭、セメントなど主要指標の初月戦闘目標が成果的に達成された」とした上で、各部門について次のように紹介している。

金属工業部門:「主要指標の計画を完遂」

化学工業部門:「窒素肥料、分離塩化ビニール、苛性ソーダなど化学製品生産で成果」

電力工業部門:「電力工業省的な戦闘目標遂行率が102%に到達」

石炭工業部門:「石炭生産を増加させた」

機械工業部門:「戦闘目標を成果的に達成」

鉄道運輸部門:「初月貨物輸送計画が占領された」

 総じて見ると、最初の三つの課題、すなわちコロナ防疫対策の徹底、災害復旧活動の加速、穀物収穫の完遂は、概ね順調とみられる。最後の課題については、やや微妙と言わざるを得ない。特に「目標を成果的に達成」という表現が100%以上の達成を意味するのかが注目される。「完遂」とは使い分けられている可能性もあるのではないだろうか。

本ブログで以前に紹介した「最初の20日間の成果」に関する記事(11月1日付け。本日の記事と対象期間は、ほぼ同一)と比較すると、電力、石炭、運輸部門及び鋼鉄、肥料生産等が目標達成とされている点で共通するものの、そこではセメントに関する具体的な言及はなかった。本日の記事でも、セメントは、総論的には言及されているが、個別的な言及はなく、生産目標が「完遂」されているかについては疑念が残る。逆に言うと、電力、石炭、運輸部門及び金属・化学部門の主要産品は、これまでのところ計画通りの実績をあげている可能性があろう。