rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月8日 平安北道の成果を称賛

 

 本日の「労働新聞」は、「試練と難関を突破して自力で復興の土台を固めていく 党政策を生命線とみなして、一つ一つ粘り強く貫徹している平安北道を見回って」との共通題目の下、同道における経済建設の成果を称賛、紹介する記事を掲載している。

 この中で、「屈することなく前進、また前進して生きた一年」と題する記事は、同道の成果として、「東来江貯水池、平北豚工場、球場養魚事業所と塩州青年養魚場、新義州に特色をもって建設された科学者・教育者のための25階建て住宅、香山郡野外スケート場、・・・道芸術劇場、道養苗場、道基礎食品工場、鴨緑江総合食料工場、新義州青年野外劇場、新義州化粧品工場春香気研究所、郭山郡被服工場、ピヒョン少年団野営所」などを列挙している。

 また、「優先的に重視し、心血を注ぐべき問題」と題する記事は、人民生活向上のため優先的に解決すべき問題として、「(飲料)水問題、食糧問題、燃料問題、住宅問題、基礎食品(味噌、醤油など)問題」を上げ、同道がこれら問題にいかに取り組んだかを紹介している。

 このほかの記事も、「実践で証明しよう」「理想を高く立てよ」「歩んできた道を振り返って」などと題して、昨日報じられた平北豚工場の建設にまつわる逸話や道内の郡幹部らの投稿などを紹介しており、更に、前述建設物などの写真13枚も掲載されている。

 これら一連の記事は、昨日報道された平北豚工場の改築工事完成を契機に掲載されたもののようだが、同道の成果がなぜこれほど顕彰されるのか、その背景は判然としない。

 ちなみに、同道の党委員会委員長は、文景徳である。同人は、その経歴から、かつては張成沢系列の人物と目され、金正恩が公式デビューした2010年の第3回党代表者会では、当時52歳で、党政治局委員候補・党書記に抜擢され、かつ平壌市党委員会責任書記にも任命され注目されたが、張成沢の粛清後、しばらくは姿を見せなくなっていた。しかし、2年前に同道の委員長に就任した。今回の報道を見ると、あるいは、次の党大会あたりで、更なる要職に復活する可能性もありえよう。張成沢系列の人物は根こそぎ処刑されたかのような報道もあったが、同人の例を見ても、必ずしもそうではないようである。最近批判を受けた幹部のその後の動静などからしても、むしろ、再チャレンジ可能というのが北朝鮮の官僚世界の特徴と考えた方が適切に思える。それだけ、有能な人材は希少ということかもしれないが。