rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月22日 社説「以民為天、一心団結、自力更生をより高く掲げ、革命の新たな発展期、高潮期を開いていこう」

 

  標記社説は、金正恩が党大会のスローガンとして掲げた「以民為天」「一心団結」「自力更生」の趣旨を敷衍しつつ、その実践を訴えるものといえる。

 まず、「以民為天」については、「人民大衆第一主義政治」と言い換えた上で、「人民の評価を基準にしてすべての事業を総括する原則」とともに、「すべての問題を人民の思想精神力を総発動し解決していく気風」を強調している。「人民」は単なる奉仕の対象ではなく、動員の対象としても、あるいは、そうであるからこそ、重要なのである。ここでは、「人民の利益を蝕み、人民の上に君臨する権柄と官僚主義、不正腐敗行為をはじめとする反党的、反人民的要素を断固一掃」することも主張されているが、その本当の理由は、そのような「動員」を妨げかねないからであろう。

 「一心団結」については、「党を信じ従う我が人民の革命的風貌、我が社会の美徳をより高く発揚させる」ことが強調されている。その担保となるのは、「領導者に対する絶対的な信頼心に基づいた全人民の忠誠心」や「報答と義理で充満した純潔な精神道徳」であり、「党中央の思想と領導に反する行為に対しては秋毫も黙過せず固く闘争し革命隊伍の思想意志的団結の純潔性をしっかり固守」することが求められている。

 「自力更生」については、新たな「国家経済発展5カ年計画」の実践と結び付けられており、同期間中に「国家的な自力更生、計画的な自力更生、科学的な自力更生として発展」させることが求められている。ここで「国家的な自力更生」という趣旨は、「自分の単位の狭小な利益を考えるのではなく、国家の全般的利益を重視し、そこにすべてを志向させる」ことである。ここからも、経済運営における当局の指導力回復が目指されていることがうかがえる。

 以上のような社説の内容は、今、北朝鮮指導部が目指す(主に内政面での)政策方向を端的に示しているように思われる。