rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年2月8日 社説「朝鮮労働党の領導に限りなく忠実な革命的党軍があるために主体の革命偉業は必勝不敗である」

 

 標記社説は、「建軍節」、すなわち「1948年2月8日、抗日の伝統を継承した革命的正規武力である朝鮮人民軍を創建」したことを記念して掲載されたものである。

 同社説は、軍の在り方、任務、当面の課題などについての北朝鮮指導部の考え方を示すものと言えるが、そこで何よりも強調されているのは、標題にも示されているとおり、軍に対する「党の領導」の重要性である。

 そのことを端的に示すのが「(現在のような)革命の継承期、新たな発展期に最も重要なことは、党と大衆の一心団結をくまなく固めることとともに、革命の柱であり国家防衛力の主軸である人民軍隊を党に無限に忠実な戦闘隊伍として一層しっかりと準備させることである」との表現である。

 社説は、それを前提として、金正恩の軍指導における業績として、「全軍に党の唯一的領軍体系をより徹底して立てるようにされ、人民軍隊を朝鮮労働党化することについての党軍建設路線を提示」したことと「政治思想的にだけでなく、軍事技術的にしっかりと準備」したことをあげている。結果、「我が人民軍隊は(今日)確固たる軍事技術的強勢を保ち、敵対勢力の挑発脅威を断固として制圧できるようになった」という。

 社説は、次に「朝鮮労働党化された我が人民軍隊」の任務として、「党中央を命懸けで死守」すること、「主体の社会主義偉業を最強の軍事力でしっかりと担保」すること、「党の社会主義建設構想を先頭に立って実現」していくこと、の3点をあげている。

 当面の課題も、この任務に即して提示される。すなわち、まず「全軍に党の唯一的領軍体系を一層徹底して立てていく」ことが求められる。次が「国家防衛の主体、人民の守護者としての本分を全うしていく」ことである。興味深いのは、この点についても、まず「思想と道徳は何物にも比べられない人民軍隊の絶対的優越性であり、不敗の力の源泉であるということを銘記し、思想教養事業を攻勢的に多角的に立体的に展開」することが求められていることである。「先端化した現代的な軍として・・・すべての軍種、兵種を世界最強の軍種、兵種として強化」するとの課題は、その後に置かれている。

 三つ目の課題は「社会主義建設の新たな勝利を勝ち取るための闘争において、軍民大団結、軍民協同作戦の威力を余すところなく誇示」すること、すなわち経済建設への協力・貢献である。具体的には、「剣徳地区を国家的な模範山間都市、鉱山都市として建設」するのをはじめとして、「(各部隊の)駐屯地域市、郡を社会主義仙境として整備するための軍民協同作戦において主動になり先導的役割」を果たすことである。一方、非軍事部門に対しても、「全社会的に軍事重視気風を確固として立て、人民軍隊を積極的に援護する国風を高く発揮」することを求めている。

 社説の結論は、標題に示されているとおり、軍が「偉大な我が人民のための滅私服務の道において党が第一に信じ頼る力強い柱」としての役割を発揮することが北朝鮮社会主義勝利の鍵となるということである。「先軍政治」という表現は、今日、影を潜めているが、以上のような発想は、「先軍政治」思想と変わっていないように思える。