rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年2月12日 党中央委員会第8期第2回全員会議閉幕

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議の概況を伝える報道を行い、同会議が昨11日に終了したことを明らかにした。同報道は、8日に開始されて以来の概況を改めて詳細に伝えているが、3日目(10日)までの概況については既に紹介済みであるので、ここでは、それ以降の部分、すなわち最終日11日の状況についての報道内容を紹介したい。

 まず、10日に行われた「分科別協議会」の結果については、「総秘書同志が行われた報告の内容を深く研究し、それに立脚して各部門の今年の事業計画を樹立するための討議を深く行った」として、そこでの討議を通じて「新たな予備と可能性が積極的に探究され、創発的で建設的な意見が提起されることにより、初期に提出されていた目標が全般的に更新された」としている。上から一方的に数字を押し付けるのではなく、現場の声を反映した形で高い目標を設定するというのが、まさに金正恩が目指したところであろう。

 そして、改めて開かれた全員会議において、協議会での意見を総合した報告がなされた後、「分科別協議会を通じて作成された決定書草案」を「今年の各部門別事業方向と戦闘目標の科学性、現実性、動員性が十分に反映されていると認定」し、決定書「党第8回大会が提示した5か年計画の初年度課題を貫徹することについて」を満場一致で採択したという。

 ここまでで第1議題が終わり、続いて、第2議題「全社会的に反社会主義、非社会主義との闘争を一層強度高く展開することについて」に関し、金正恩が「報告」を行った。金正恩は、同報告で、反社会主義現象に対して「我々の思想と制度を脅かし、一心団結を阻害する悪性腫瘍」と形容した上で、「中央から道、市・郡に至るまで強力な連合指揮部を組織」して、それとの闘争を「集中的に、多角的に強く展開」することを訴えた。

 この問題に関し注目されるのは、「特に幹部の中で表れる権力乱用と官僚主義、不正腐敗行為を克服する」と共に「反社会主義、非社会主義的行為を庇護助長する対象を幹部隊列から断固として除去」すべきことが強調されたこと、「経済管理問題を至急解決することを我が国家の社会主義的性格を固守し、反社会主義、非社会主義的現象を根絶するための極めて重要な課題」と位置付けたとされる点である。そういった問題を含めた意味で「反社会主義」が論じられていることが分かる。同議題に関しても、決定書が採択された。この問題は、党大会の金正恩の「報告」でも言及されていたが、やや言い足りなかったのであろう。

 第3議題は、「党中央委員会スローガン集を修正することについて」であり、「報告」に基づき(報告者の氏名は言及されず。おそらく宣伝扇動部長の朴太城党秘書ではないか)、修正が決定された。

 第4議題は、「『朝鮮労働党規約解説』審議について」であり、金正恩が議案の趣旨を述べたとされる。要するに党大会で改訂された党規約の公式解説書を作成するというもので、それを中央委員会での審議・承認を経ることによって権威付け、今後の党活動の準拠基準としようと狙いによるものといえよう。党活動の「正式化」「制度化」という流れに即したものと考えられる。同議題については、会議参加者が「十分な事前研究を行ったことに基づいて、党規約解説集草案を朝鮮労働党規約解説集とする」ことを決定した。

 第5議題は、「組織問題」(人事)であり、政治局委員、同候補委員及び中央委員、同候補委員の召喚(解任)と補選が行われたと報じられている。

 そのうち、具体的に人名が明らかにされたのが、政治局候補委員であった李善権(外相)が政治局委員に、中央委員であった金成男(党国際部長)が政治局候補委員に、中央委員会候補委員3人が委員に、5人が同候補委員に昇格したこと及び呉洙容(第2経済委員長)が党秘書兼経済部長に任命されたことである。

 一方、解任された者の氏名は明らかにされていない。上記人事から党秘書兼経済部長であった金斗日(政治局委員)が更迭されたことが分かるが、前述報道に「召喚」との表現があることからして、それ以外にも、降格・更迭された人物が複数存在すると考えられる。

 最後に金正恩が結びの言葉を述べて全員会議は終了した。そこでは、「決定された課題に対する正確な指導と徹底した執行」を訴えるとともに、コロナ防疫活動の揺るぎない継続が「重要課題の中の第1順位である」こと、「今次全員会議を契機に経済指導幹部の事業態度と執務姿勢に実際的な変化が起きることを期待する」ことなどが述べられたという。