rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年3月18日 崔善姫外務省第1副相が談話を発表

 

 本日の朝鮮中央通信は、3月17日付けの標記談話を報じた(本日付け「労働新聞」には未掲載)。

 同談話は、「2月中旬からニューヨークを含む諸経路を通じて」米国から接触を受けたことを明らかにした上で、北朝鮮としては、それに応じていないこと及びその理由を述べたものである。

 すなわち、北朝鮮は、「米国の対朝鮮敵対視政策が撤回されない限り、いかなる朝米接触や対話もなされえないとの立場」を既に明らかにしており、対話が実現されるためには、「互いに同等に対座し言葉をやりとりすることのできる雰囲気が醸成されなければならない」と主張する。

 そして、「米国で政権が変わった以後」の政権関係者及び当局の様々な対北朝鮮発言・措置などを具体的に指摘しつつ、「強圧的な姿勢を維持している」と結論付け、更に最近の「(米韓)合同軍事演習」にも言及している。また、米国務長官の今次日本訪問時の発言に対しても、「我々を甚だしく刺激した」とした上で、それに続く訪韓後の発言が「心配になる」とけん制している。

 その上で、もし米国が北朝鮮との対話を望むのであれば、「初めから(そのような)態度を変えなければならない」のであり、米国の側に「新たな変化、新たな時期を甘受し、受けいれる準備」がない限り対話は時間の浪費にすぎないと主張して、米国の対北朝鮮姿勢の転換を要求している。

 同談話は、バイデン政権発足後の対北姿勢に不満ないし警戒的な見方を示した点に新味があるともいえる。ただし、そうであるからといって、米国との交渉・対話の拒否を宣言するものではなく、談話の最後に引用しているように、金正恩の党大会における「強対強、善対善」との原則を強調するものであり、米国の対応いかんによっては、対話の窓口は開かれていることを示すものともいえる。

 北朝鮮のバイデン政権に対する最終方針は、談話にも言及されている国務(・国防)長官の韓国訪問時の発言内容をはじめとして、今後進められる対北朝鮮政策レビューの状況を踏まえた上で策定されることになると考えられる。