rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年4月8日 党細胞秘書大会2日目状況(加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、標記大会2日目(4月7日)の状況を報道、その概況は次のとおり。

 まず、会議全般に関しては、金正恩は出席せず、組織秘書・趙勇元及びその他の党秘書が「政治局常務委員会の委任により、・・会議を指導した」とされた。金正恩以外の人物の動向に関して、「指導」との表現を用いるのも、例外的ではあるが、このところ、ある程度定着してきたともいえよう。やはり、特定の場において特定の業務を金正恩に代わって行うような状況に限定して用いられる表現と考えられる。

 会議は、終日、「討論」で、参加者は、18人であった。このうち、10人については、「模範を示した細胞秘書の献身的で進取的な事業経験」を紹介したものとされ、残り8人については、「細胞事業を党の意図に即して実質的に遂行できなかった偏向を批判的見地から反省」したものとされた。

 このうち前者については、模範となる活動の類型別に発言者が紹介されている。それを発言者の所属単位と合わせて整理すると、①「党の領導業績を輝かせる思想教養事業」を「親現実的に遂行」(製紙工場)、②「党生活組織と指導を改善」(電気機関車連合企業所、革命戦跡地管理局)、③「党員の先鋒的役割を高める事業」(炭鉱、農業研究院)、④「人との事業(対人関係構築の意)をしっかり行う」(製鉄連合企業所、精密機械総合工場)、特に「対象者の特性と準備程度に即して正しい方法論を選択」(大学)、⑤「細胞秘書が)自らの模範で大衆の熱意を喚起、初級幹部隊列を強化」(協同農場、協同農場部門党秘書兼細胞秘書)となっている。

 次に後者については、発言者はまとめて紹介されており、その所属単位は、ビナロン連合企業所、総合病院、発電所、高級中学校、化学工業省、アヒル工場、製鋼連合企業所、分駐所(社会安全部と推測)となっている。そして、紹介された「偏向」の類型としては、「旧態依然で慢性的な事業態度」、「不正との闘争を強く展開できず、党的原則がなく事業(した)」などが指摘されている。

 このほか、「細胞秘書の事業を日常的に了解掌握」できなかったなどの「欠陥の原因も深刻に分析された」とされている。これは細胞秘書自身ではなく、それを指導する幹部に関することであるので、上記「討論」の過程で、党中央幹部から、その指導責任についての発言などが行われた可能性が考えられる。

 報道は、「大会は継続される」としており、本日も継続しているものと思われる。

以下加筆部分

 昨日報道された初日の「討論」についても、どのような事柄が紹介されたのか整理しておきたい。報道された13人のうち、個別的に内容に言及があるのは7人で、次のような類型に分かたれて紹介されている。

  • 「党の領導業績を通じた教養作業を力強く展開して・・人民経済計画遂行に輝かしい成果」:セメント連合企業所、鉱山
  • 「党の科学技術重視思想を高く奉じ党員と勤労者を知識型の勤労者として準備・・集団的革新と大衆的英雄主義が余すところなく発揚」:火力発電所、製鉄連合企業所、肥料連合企業所
  • 飛躍的な生産実績達成:鉱山、水産事業所(「思想事業経験」)

 その他の6人については、内容の言及がない。おそらく、主に「党員に対する党生活組織と指導を実施できなかった経験」について述べたと考えられる。

 1日、2日目共に、模範、欠陥それぞれバランスをとって(前者をやや多く)、討論を組み合わせていることがわかる。