rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年4月10日 社説「朝鮮労働党第6回細胞秘書大会の基本思想を徹底して貫徹し全党強化と社会主義建設において新たな前進を成し遂げよう」

 

 標記社説は、8日に閉幕した細胞秘書大会の意義を強調するとともに、そこで示された方針等の実践・徹底を訴えるものである。

 まず、表題にもなっている同大会の「基本思想」については、「すべての党細胞を人間的に固く団結した健康で活気旺盛な細胞にしようというもの」とした上で、同大会においては、そのために必要な「細胞事業を人の心との事業、感情情緒との事業へと確固として転換させ、党員と勤労者を一つの家族のように固く団結させるための方法論」が示されたとしている。

 また、金正恩が提示した「10個の重要課題」は、それを実現するための「実践的綱領」であり、「12の基本品性」は、党細胞秘書がその「役割をまっとうするための根本担保」であるとして、それらを「常に心の中に刻み置き、実践活動に移すため意識的に努力」することを求めている。

 昨日の本ブログの記述とも若干重複するかもしれないが、同大会の最大の特徴は、「人との事業」、感情に訴える働きかけの重要性を強調したことではないだろうか。そして、同大会における金正恩の演説も、参加者の感情に訴えることを強く意識した懇ろなものであったように感じられる。とりわけ、「結論」の最後の部分や「閉会辞」などは、細胞秘書の重要性と奮発・献身を繰り返し訴え、参加者の感動を呼び起こすに足るものであったと思われる。

 なお、大会を報じるニュース映像を見ると、参加者の多くは30代、40代の比較的若く、しかもいかにも純朴といった人たちで占められている。「開会辞」でも「細胞秘書の交代が早く、今ちょうど事業を始めた細胞秘書が多い」とされていたことから勘案すると、例えば党大会などを契機に末端でも幹部の交代が速いペースで進んでいることがうかがえる。そうした人々を対象に、こうした大会で金正恩が直接語り掛け、「綱領的」な行動指針などを与えることを通じて、文字通りの金正恩時代の幹部が育っていることが実感される。