rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年4月16日 金日成生誕109周年に際し多様な慶祝行事

 

 本日の「労働新聞」は、「太陽節」(金日成誕生記念日)にあたる昨15日の様々な関連動向、慶祝行事の様子を報じている。

 まず、金正恩が李雪柱夫人、趙勇元組織秘書、朴正天総参謀長、金予正及び玄松月宣伝扇動部副部長を伴って、錦繡山太陽宮殿を参拝したことが報じられている。ただし、参拝時の写真には、玄副部長の姿は写っていない。なお、崔竜海、李炳哲、金徳訓をはじめとするその他の「党中央指導機関メンバー」については、これとは別途に、同宮殿を参拝したことが報じられた。

 また、金正恩が李夫人とともに、主要芸術団体による慶祝合同公演を観覧したことも報じられた。これには、趙勇元ら4人の党常務委員のほか「党中央委員会部署幹部、職員、家族ら」が同席したという。「職員、家族」の同席が報じられるのは珍しいことであろう。

 一方、一般市民を対象とした行事としては、平壌市内及び各地において、金日成銅像への献花や芸術公演、青年学生の舞踏会などが行われた。加えて、平壌市内では、同日夕方、青年学生の夜会・花火大会が盛大に行われた。

 さらに、各地の「給養奉仕網」(平壌の玉流館、清流館、平壌麺屋、沙里院の慶岩閣、咸興の新興館などのレストラン)も、「名節奉仕」を提供したという。

 このほか、朝鮮中央テレビの15日のニュースでは、この日に合わせて写真館で記念写真を撮る家族連れの姿なども紹介されていた。

 政治的に注目されるのは、いうまでもなく、金正恩の参拝に同行した4人の顔ぶれであろう。趙勇元、金予正、玄松月の3人はいわば「お側役」の常連メンバーであるが、これに朴総参謀長が加わったところが今回の特徴といえよう。ちなみに、趙勇元は、金正恩の細胞秘書との記念写真撮影の際にも、他の高位幹部が現地で出迎えのため整列していた際には姿がなく、金正恩の到着後になって突然、その後ろに出現していることから、金正恩随行してきたことがうかがえる。もともと組織指導部第一副部長を務めていた時期にそういった動き方をしていたので、常務委員に大抜擢された後も、同人の「お側役」的動きには変化がないということであろう。そうした金正恩との物理的距離の近さが権力の何よりの源泉になることを示しているようにも思える。そういう意味で、朴総参謀長の今後の動向にも注目したい。