rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月2日 上半期経済目標の完遂を督励、田植え進捗状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、冒頭に「5か年計画の初年度課題遂行にさらに拍車をかけ、革命の新たな勝利へと疾風を立てて進もう」と題する社説を掲載して、「上半年人民経済計画遂行の最後の月に入った」とした上で、それを「無条件遂行すること」の重要性を強調、党員、党組織などがこぞってそれに邁進するよう督励している。

 この背景には、先月までの課題遂行状況が必ずしも順調ではないとの事情があるのではないかと考えられる。そのことは、本日掲載の「5月人民経済計画完遂」と題する記事において、その題目とは裏腹に、紹介されている金属工業、化学工業、石炭工業(採掘)のいずれの部門に関しても、部門全体としての「計画完遂」報道がないことからうかがえる。具体的には、「金属工業部門の諸単位」が「5月人民経済計画を完遂」、「化学工業部門の諸単位」が「5月人民経済計画を遂行」、「石炭工業部門」が「果敢な生産突撃戦を展開」とされており、計画完遂が明記されているのは、これら部門に属する個別の企業所・工場だけである。

 5月5日付けの本ブログで紹介したとおり、4月分の計画遂行状況については、化学工業部門を除いて、ほとんどの部門に関し「完遂」ないし「遂行」とされていたことと比較すると、やや失速気味ということになるのかもしれない。いずれにせよ、第1・四半期についても、部門全体としての完遂報道は少なかったので、上半期全体として、そうした遅れを挽回して「計画完遂」を実現するのは、かなり困難なのではないだろうか。

 一方、このところ連日報道されている各地の田植え状況については、同じく本日掲載の「全国各地で田植えを連続して結束」と題する記事が、「6月1日現在、全国的に70個の市・郡・区域と1,200余個農場、協同農場において田植えを結束し、その数は時間が過ぎるにつれ続々と増えている」と報じている。

 なお、同記事によると、地域別では、「平安北道において、去る5月31日までに全国に最初に基本面積の田植えを結束」したとし、これに続き、咸鏡北道において6月1日現在で「7個の市・郡、160余個の農場・協同農場で田植えを結束」したこと、江原道において同日現在で「元山市、利川・板橋郡で田植えを成果的に結束」したことを伝えている。

 農業に関する知識は皆無なので適切な評価であるかは自信がないが、気温が低いはずの北部地域が先に終了したというのはやや奇妙に感じる。全国に先駆けて田植え開始が報じられたのは黄海道であったと記憶しているが、これら地方は、稲作面積が広いだけに時間がかかっているのか、あるいはなにがしかの事情があって遅滞しているのか判然としないが、穀倉地帯とされるだけに今後の進捗状況に関心がもたれる。