rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月22日 金予正が米国国家安全保障補佐官の金正恩の党中央委発言関連コメントを批判の談話を発表

 

 標記談話は、本日、朝鮮中央通信が伝えたもの。

 先の中央委員会第8期第3回全員会議において、金正恩が米国と「対話にも対決にも準備」などとの姿勢を示したとされたことに関し、米国ホワイトハウスの安保補佐官が「興味ある信号」とコメントしたとの報道に接したとした上で、こうした見方に対し、「米国はおそらく自分を慰安する方向」で解釈しているようで、「(そうした)誤った期待は自らをより大きな失望に陥れることになろう」と独特の表現で揶揄している。

 同談話は、全文僅か5行であり、内容も上述のような「揶揄」にとどまっており、特段の主張を展開したものではないことから、中央委会議での金正恩発言について、米国や韓国などの一部で示されている過度に楽観的な解釈をけん制し、かねての原則的立場に変化のないことを改めて示す狙いによるものと考えられる。とりわけ、時あたかも、ソン・キムの訪韓中であり、同人が韓国で甚だしい、自分の期待に即した我田引水的楽観論に影響されて、北朝鮮が交渉再開に前のめりになっているなどと「誤解」されることを避けたいとの狙いがあるのかもしれない。

 もちろん、同談話は、対米対話の可能性を否定するものではなく、むしろ、米国に対して真摯な姿勢での積極的対応を期待する気持ちを反映したものともいえよう。