rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年8月1日 東奔西走する金徳訓内閣総理

 

 このところ金徳訓内閣総理の「現地了解」がますます頻繁に報じられている。以前は、朴奉柱党副委員長(元総理)や崔竜海最高人民会議常任委員長らによる同様の活動も報じられていたが、最近は、朴奉柱は引退し、崔竜海の「現地了解」もごくまれにしか報じられず、更に、金正恩の経済部門などへの現地指導も激減していることから、結局、金徳訓だけが全国を東奔西走している印象が強い。

 以下は、同人の「現地了解」活動に関する「労働新聞」における最近1か月間の報道を列挙したものである(日付は報道日)。報道回数で言うと7回であるが、1回の報道で複数の道への訪問を報じた例もあり、まさに席の温まる暇もないのではないだろうか。

 また、最近のこれら報道の特徴として、訪問先の問題点などをかなり具体的にうかがわせる記述が増えていることを指摘できる。総理自らトラブルシューターのように各地の問題を処理して回っているようである。こうした執務姿勢がまさに金正恩の求める幹部のあるべき姿なのかもしれない。

7月 6日:災害性異常気象に対処するための農業省と気象水分局の事業状況

      楽浪区域糧政事業所をはじめとする平壌市内糧政部門単位

7月11日:黄海南道奉天郡、配川郡、沿安郡、青団郡内の農場

      黄海南道平安南道内の糧政部門単位、文徳郡の託児所、幼稚園

7月18日:三池淵市整備第3段階工事場

      市内託児所・幼稚園、糧政部門、ヤギ牧場建設場)

7月20日:咸鏡南道と江原道の水産事業所と協同農場、地方工業工場建設場

7月24日:順川製薬工場、平壌樹脂鉛筆工場、万景台栄誉軍人万年筆工場等

      黄海北道水安、新界、瑞興、黄州郡の営農実態、糧政、託児所・    幼稚園

      順川リン肥料工場の生産正常化に関する全般的問題を協議対策

7月26日:平壌市内住宅建設場(「暴炎」対策など)

8月 1日:平安南道文徳、粛川、大同郡内の農場、南養製塩所、

      安州地区炭鉱連合企業所(生産に必要な電力の安定的保障問題を了解対策)