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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年9月29日 最高人民会議第14期第5回会議開幕

 

 本日の「労働新聞」は、28日、標記会議の「第1日目会議」が行われたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。

 同記事によると、同会議には、代議員に加え、「傍聴」として、党中央委や政府中央機関の幹部のほか市・郡の党責任秘書及び人民委員長らが参加したという(金正恩の出席報道はなし。これは想定されたことといえる)。

 議題は、①「市・郡発展法」の採択、②「青年教養保障法」の採択、③「人民経済計画法」の修正・補充、④「再資源化法」の執行検閲監督状況、⑤高麗航空局の国家航空総局への改編、⑥組織問題(人事)、とされた。このうち①,②、③、④及び⑥は、8月24日の最高人民会議常務委員会で今次会議の招集を決定したときから挙げられていた議題であり、⑤は、ここで新たに提起されたものである。

 第1日目の会議では、このうち①、②、③及び④が取り上げられた。

 このうち、①,②、③に関しては、まず高吉善常任委員会書記長が「報告」を行い、①について「すべての市・郡を文明富強な社会主義強国の戦略的拠点として、自らの固有の特色を持つ発展した地域」とする、②について「全国家的、全社会的な支援の中で青年を主体革命偉業の頼もしい継承者としてしっかりと準備させ」る、③について「国家経済の自立性と計画性、人民性をより強化する」ことなどを内容とする法案を「章別」に解説した上で、それらについて「研究・協議会において討議した後、討論を行い最高人民会議法令として採択することとした」とされる。

 次に、④に関して、高書記長の「報告」及び4人の代議員による「討論」を通じて、「再資源化法」の制定(昨年4月)以降、「人民経済各部門において成し遂げた成果と経験、現れた欠陥と教訓を全面的に分析総括」し、「再資源化を経済発展の重要な動力として取り組む」ことの必要性などを強調した上で、「再資源化法を徹底して執行することについて」と題する「決定」を全員一致で採択した。

 その後、前述①~③の法案審議のための「研究・協議会」が開催されたという。記事に付された写真には、本会議場とは別の会議室に集まった状況が示されており、法案ごとの分科会方式で協議会が開催されたものと考えられる。こうした協議方式は、このところの党大会や中央委員会全員会議などで恒例化されたもので、それが最高人民会議でも採用されたことになる。こうした会議を挙手と拍手だけで終わる形式的なものではなく、より実質的・機能的なものにしようとの最近の方針を反映した現象と言えよう。どれだけ率直な協議が行われるのは定かでないが。

 今後の注目点は人事であろう。当面、最近の党常務委員、政治局メンバーの交代などを反映した国務委員会メンバーの改選などが想定できるが、それ以外にも何か意外な人事があるのか、明日の報道が楽しみである。