rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年9月30日 最高人民会議第14期第5回会議2日目会議概況

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関する朝鮮中央通信の記事を掲載している。なお、金正恩の施政演説に関する記事は、「本社政治報道班」という最高領導者の動向報道専用の表現で別途に掲載されている。

 会議の概況に関する記事では、冒頭に金正恩の会議への参席、施政演説の実施について紹介しているが、実際に2日目会議の冒頭にそれが行われたのか否かは、定かでない。

 それ以外の議事としては、まず、第1、2,3議題として提起された三つの法案に関し、「研究・協議会」の結果を踏まえる形で「討論」が行われた後、満場一致で各法案の制定及び改正が採択満場一致で採択された。

 次に、第5議題である「高麗航空総局」の「国家航空総局」への改編が「最高人民会議決定」の形で採択された。

 その後、第6議題である「組織問題」に移り、①国務委員会の副委員長、委員、②最高人民会議常任委員会の副委員長、委員、③中央裁判所長、④最高人民会議部門(法制、外交、予算)委員会の委員長、委員がそれぞれ改選された。人事内容については、相当数の改選が行われている。後日詳細に検討したいが、③を除いて、基本的には、ここで実態的な人事異動が行われたというよりは、これまで行われた人事異動の結果を反映させたものと考えられる。

 最後に崔竜海最高人民会議常任委員会委員長が閉会辞を述べた。会議は2日で幕を閉じたことになる。

 金正恩の施政演説は、「社会主義建設の新たな発展のための当面闘争方向について」と題し、冒頭に現状認識を述べた上で、政治、経済、社会、対南、対外の各分野に関する当面課題を網羅的に提起したもののようである。要約・紹介の形をとった記事が相当の長文(ハングルで約1万字弱)であるので、原文は更に長大なものなのであろう。全文が後日印刷の上、関係機関に配布されるとのことである。

 対南、対米に関しては、先に紹介したとおりかなり厳しめの姿勢が示されている。政治、経済、社会の内政部分は、党大会の総括報告とほぼ同様の内容で特段の新味のない内容である。

 検討すべきなのは、この時期に議題とも直接関係がないにもかかわらず、何故改めて「施政演説」を行ったのか、経済面でのテコ入れのためなのか、あるいは対南、対外関係の部分を内外に強く印象付けるために「施政演説」という形をとったのか、という問題であろう。今すぐ適当な答えは思い浮かばない。慎重に検討すべき問題と考える。