rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年12月4日 評論「社会主義の全般的発展に関する思想の基本要求」

 

 標記評論は、2日の本ブログで紹介した評論に続き「社会主義の全般的発展」に関連したもので、その「基本要求」すなわち課題を論じたものである。

 評論が掲げる最初の「基本要求」は、「思想革命、技術革命、文化革命の旗幟を高く掲げて3大革命赤旗獲得運動をより広い範囲へと拡大強化し、すべての部門、すべての地域、すべての単位を世界的水準へと引き上げるための展望目標と段階別目標を明確に立て、頑強に執行」していくことである。

 「3大革命赤旗獲得運動」というのは、具体的には、各単位がその組織・活動に関する様々な事項に関する基準(指標)を達成することを目指し、それが達成できた場合に「3大革命赤旗」称号を授与されるという制度である。したがって、同運動の対象になるということは、日々の活動において、そうした様々な目標の実現に向けて継続的な取り組みを行わなければならないということを意味する。

 評論が掲げるもう一つの「基本要求」は、「すべての部門と単位において単位特殊化と本位主義を徹底して克服し、先行する部門と単位が落伍した部門と単位を積極的に助けてやる気風を樹立」することである。そのため、「すべての部門と単位は、国家的利益、全般的発展を優先視して、互いに協助し積極的に協力していくことにより・・国家の発展と自部門・単位の発展を共に成し遂げなければならない」と訴えている。

 更に、これに関しては、「我が党は特定のどこか一つの部門が先行することよりも全般が皆共に手を携えて前進することをより重視している」とまで主張している。このような主張は、ある意味で、「先富」論を否定し「共同富裕」論に掉さすようにも思える。このような風潮の中では、経済運営において、市場経済的要素を重視する「改革」的傾向はますます影を潜めざるを得ないであろう。