rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月20日 党中央委第8期第6回政治局会議開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が1月19日開催されたことを伝える記事を掲載した。同記事に基づく同会議の概要は、次のとおりである。

ア 出席者:政治局メンバーのみ(但し、写真では、壁際席に数人の傍聴者あり)。金正恩は、「参加、司会」

イ 主な討議内容

① 金日成誕生110周年、金正日誕生80周年慶祝活動の実施について

 両記念日に際しての慶祝活動を「祖国青史の長く輝く勝利と栄光の大祝典として盛大に慶祝」することとし、決定書「偉大な首領金日成同志の誕生110周年と偉大な領導者金正日同志の誕生80周年を盛大に慶祝することについて」を採択

② 国際情勢認識と対米対応方針

    • 米国の対北朝鮮姿勢に関し、「朝米首脳会談以後の最近年間」だけでも、「中止を公約した合同軍事演習を数百回も開催」、「各種戦略武器試験を実施」、「先端軍事攻撃手段を南朝鮮に搬入」、「核戦略武器を朝鮮半島周辺地域に展開」するなどして、「我が国家の安定を厳重に脅威した」。また、「20余回の単独制裁措置をとる」などしており、「特に現米行政府(バイデン政権)は、我々の自主権を去勢するための策動に執拗に執着している」と評価。
    • 今後の対応方針として、「米帝国主義との長期的な対立により徹底して準備」する必要性を「一致して認定」、「国家の尊厳と国権、国益を守護するための我々の物理的力をより頼もしく確実に固める実際的な行動へと移行するべき」と結論。
    • 具体的対策として、「米国の日々ひどくなる対朝鮮敵対行為を確固として制圧できる、より強力な物理的手段を遅滞なく強化発展させるための国防政策課題を再設定」、「我々が先決的に主動的に取った信頼構築措置を全面再考し、暫定中止したすべての活動を再稼働する問題を迅速に検討する指示を該当部門に設定」。

  今次会議に関し注目されるのは、いうまでもなく②の内容で、バイデン政権発足後、警戒心・反発をにじませながらも直接的な刺激を抑制してきたこれまでの対米姿勢を「再検討」することを明らかにしたことになる。

 その狙いについては、バイデン政権の対北朝鮮姿勢の軟化を目指したものなのか、あるいは、従前からの方針転換(すなわち軍備開発の一層の加速、とりわけ核兵器原料製造作業の公然化や長距離ミサイル発射モラトリアムの撤廃)を一方的に宣言する意味合いが強いのかは、慎重に見極める必要があろう。

 そうした方針転換について、「再稼働する問題を迅速に検討する指示を該当部門に設定」などと回りくどい表現を用いていることは、なお交渉の余地が残されていることを敢えて示唆する意図によるものとも考えられる。

 しかし、バイデン政権がこうした「脅し」に屈する形で従前の対北朝鮮姿勢を軟化させる可能性はかなり低いのではないだろうか。そうであるとすれば、北朝鮮の意図がどうであれ、結局は、更なる軍備強化の道に進むことになる公算が大きいように思われる。

 上記報道からは、そうした道に進むことの正当性・必要性について指導部内での意思統一を図る狙いをうかがうこともできよう。