rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月30日 朝鮮農業勤労者同盟第9回大会を開催

 

 本日の「労働新聞」は、1月27,28の両日開催された標記大会に関連する記事を大々的に掲載している。

 その冒頭に掲げられているのは、大会に送られた金正恩書簡「農業勤労者同盟は我々式社会主義農村発展のための闘争において先鋒部隊になろう」である。

 同書簡は、まず農業勤労者の努力、成果に対する謝意を述べ、「(これまで)誰よりも苦労を多くした我が農業勤労者が富裕で文明な社会主義理想郷において幸福な生活を心ゆくまで享有できるようにしようというのは、我が党の確固たる意志である」とした上で、そうした構想に基づき先の党中央委第8期第4回全員会議で打ち出した「社会主義農村建設綱領の実現」のため、農業勤労者同盟(以下「同盟」)が「先鋒部隊としての使命と役割を責任をもって果たす」ことを訴えるもので、大別すると、①農村における3大革命(思想・技術・文化)の推進、②農業生産増産への貢献、③同盟の組織・活動の強化改善、の順で様々な課題を提示している。

 このうち、①と②は、概ね前述全員会議での金正恩の報告と重複ないし符合するものである。強いて今次書簡で注目される点をあげると、①に関し、文化面での課題として「農業勤労者の中にいまだに残っている古い思想と落伍した文化水準、なりゆきで生活する根深い生活因習」を「大きな障害」として指摘し、「身だしなみと頭髪を端正に整えることからはじまって・・家の内外をきれいに片付けることに至るまで文化生活のすべての面に深い関心を払い正しく導く」とともに「高尚な倫理関係を破壊する非道徳的で非文化的な要素が芽生えないよう」求めていることや「非社会主義、反社会主義との闘争」の文脈で「穀物を不正処理」することや「国家が保障してやった営農物資を密売する行為」などの根絶を訴えている点などがある。

 また②に関しては、「当面、町歩当たりの穀物収穫高を1トン以上増収するための闘争に奮い立つ」こと、「穀物穀物を主とした二毛作を大々的に行う」との方針の下、「畑に転換された田を還元復旧して稲を植え」るように訴えている点などをあげることができる。なお、②では、これに続いて畜産、果樹、野菜などにも言及がある一方、かつて盛んに力説されたトウモロコシ、ジャガイモなどにはほとんど触れられていないこと、増産の推進策として「社会主義競争」が強調されている一方で、分組管理制や甫田担当制などへの言及はないことも指摘しておきたい。

 次に③に関しては、「党中央の唯一的領導体系」の確立から始まって、思想教養・宣伝活動における形式主義批判、組織生活の正規化・規範化、基層組織の強化、基層組織幹部の活動姿勢改善、党による同盟活動の指導強化などが列挙されており、他の大衆団体にあてた内容と大同小異の内容と言える。

 更に、これとは別の記事として、同大会終了の翌29日に大会参加者のための「講習会」が開催され、党中央委・李斗成部長が「朝鮮農業勤労者同盟第9回大会決定貫徹のための闘争において大会参加者が自らの責任と本分を尽くしていくことについて」と題する講演を行ったこと、同日、大会参加者が金正恩に対し、「社会主義農村建設綱領実現において先鋒隊としての使命と役割をまっとうしていく」ことを誓う「宣誓集会」が開催されたことなどが報じられている。

 なお、最近、農業関係では、本大会開催以外にも、1月21日、最高人民会議常任委員会が内閣の農業省を農業委員会に改編することを決定(26日報道)、崔竜海常任委員長が広川ニワトリ工場の建設状況を現地了解(28日報道。なお、同人の同地視察は、2021年3月11日、同年6月23日に継ぐもの)、1月27,28の両日、平壌市及び各道・直轄市において、「農業部門熱誠者会議」を開催(29日報道)など活発な動きがある。いずれも、先の党中央全員会議での金正恩の農村振興方針提起を受けたものといえよう。