rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月5日 金正恩の「旧正月慶祝公演」観覧報道をめぐって

 

 紹介が遅れたが、2月2日の「労働新聞」は、金正恩が夫人の「李雪柱女史」と共に1日に「旧正月慶祝公演」を観覧したことを報じる記事を掲載した。同記事は、この際の同行幹部として、党政治局常務委員である崔竜海、趙勇元、金徳訓、朴正天と党秘書である李日換、鄭相学、呉守容、泰形哲の8人の名前を挙げている。

 しかし、同観覧状況を報じた朝鮮中央テレビの映像では、これに粛清された張成沢夫人の金敬姫が参加し、李雪柱夫人の隣に着席していたことが映し出されている。

 金敬姫の公式場面への出現は、2020年1月25日、今回と同様、金正恩旧正月公演観覧に同席(これが張成沢粛清以来はじめての出現)して以来2年ぶりのことである。

 ただ、その時と今回の報道ぶりが異なるのは、当時は、同行者として、「崔竜海同志、金敬姫同志、李日換同志、趙勇元同志、金予正同志、玄松月同志」として、その名前が記事中に他の幹部と並列する形で明記されていたが、今回は、前述のとおり記事中に名前がないことである。

 今次報道において更に奇妙なことは、金正恩の動静報道としては異例にも、写真が1枚も添付されていないことである。結局、「労働新聞」を見ただけでは金敬姫が出席したという事実は、まったく知ることができず、記録としても残らないことになる。

 なぜ、こうした扱いになったのか、皆目見当もつかないが、興味の持たれるところではある。

 ちなみに、前回同席した金予正は、今回は同行しなかった模様である。一方、玄松月(宣伝扇動部副部長)は、記事中には名前は報じられなかったが、映像では、相変わらず金正恩側用人のような動きをしていることが何回も映し出されている。金予正は、今回は、ちょっと不満であったかもしれない(勝手な憶測だが)。