rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年6月22日 党中央軍事委員会第8期第3回拡大会議を開催(修正版→下線部)

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が21日から開催されていることを伝える記事を掲載した。

 同記事によると、会議には、金正恩が「参席」し「司会」したとされる(昨年6月11日開催の中央軍事委第8期第2回会議の際は、「会議を指導」と表記)。

 会議には、中央軍事委員が参加したほか、党中央委員会該当部署幹部、党朝鮮人民軍委員会執行委員、国防省指揮メンバー、朝鮮人民軍大連合部隊軍政指揮官が傍聴したという。傍聴者の範囲は、前回会議と表記はやや異なるが実質的にはさほど変わらないと思われる。

 ちなみに、添付の写真では、金正恩の左隣(向かって右隣)に趙勇元(組織秘書)が座っているものと、李炳哲(党秘書・軍需担当?)が座っているものがある(右隣は、一貫して朴正天)。途中で規模をやや縮小し、趙勇元は退席したのではないかと推測される。

 議題については、①中央をはじめとする各級軍事委員会の「事業体系と秩序、実態」を分析総括し、その「機能と役割をより高めるための重要課題」を討議、②2022年上半期の「国家防衛事業全般を総括し、鍵となる当面の国防建設任務を確定」、③「党の軍事路線と主要国防政策を徹底して貫徹するための問題」、④国防省、総参謀部、各級部隊等の「党組織の軍事政治活動状況を総括し、朝鮮人民軍の前に提起された重要な戦略戦術的課題を策定」することなどをあげている。

 このうち、②は前回会議でも同様のものがあり、6月に開かれる会議での年間の中間総括と今後の課題策定という意味で分かりやすい。一方、①は各級党委員会の軍に対する指導体制について、④は軍内党組織の在り方について、それぞれ、もう少し長期的・組織構造的な次元で何らかの改革を企図するものとも考えられる。世間で注目の核実験等については、取り扱われるとすれば、③に含まれるのであろうか。

 会議は2日目以降に継続される模様であるが、中央軍事委員会が2日間以上にわたって開催されるのは異例であり、それだけ今次会議が実質的・重要なものとみなされていることがうかがえる。ただ、それは、必ずしも「核」問題の策定を意味するものではなく、党軍関係の在り方などにかかわる問題であるとも考えられる。趙勇元の出席がそれをうかがわせる根拠といえる。また、上記報道に、以前の中央軍事委の議題報道で頻出した「戦争抑止力」といった表現が見られないことも、核問題が(少なくとも公開的には)取り扱われない可能性を示唆する要素といえよう。

 いずれにせよ、結果が大いに注目される。