rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年8月3日 7月人民経済計画遂行状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関し、「党中央委員会第8期第5回全員会議の決定を高く奉じ果敢な攻撃戦を展開し引き続き革新 基幹工業部門の多くの単位で上半年計画を完遂した気勢高く7月人民経済計画遂行」と題する記事を掲載した。

 こうした記事の掲載は、毎月月初に恒例のものである。ただし、同記事は、以前のように各部門別に計画遂行状況を紹介するのではなく、部門横断的に特徴的な取り組み状況を紹介するという先月以来のスタイルで構成されており、見出しで示された「多くの単位で・・計画遂行」を超える個別の部門、工場・企業所の計画完遂あるいは遂行状況については、採掘工業部門で5つの炭鉱連合企業所の名前が挙げられた以外には、言及していない。

 なお、基幹産業部門にこうした成果をもたらした取り組みとして紹介されたのは、第一に、「部門と部門、単位と単位相互間で共に支持補充しつつ、連帯的革新の火の手を起こした」ことで、「あい路と難関の中でも諸部門と多くの単位が7月計画を完遂した過程では、これが重要な要因として作用した」と主張している。

 第二は、「生産正常化の基本方途を設備管理、技術管理に求め、設備のフル稼働、フル負荷を保障することに優先的な力を注いだ」ことである。また関連して、「これと共に、諸生産工程を電気節約型、労力節約型へと改造することをはじめとして現存生産土台をよりしっかりと固める事業を推し進めている」ことも紹介している。

 最後に、「この(基幹工業)部門の幹部と労働階級を積極的に助け後押ししてくれた各地幹部と勤労者の努力」を指摘している。つまり、各地の党・経済指導機関や他の産業部門による支援の効果を強調しているわけである。

 こうした記事のスタイルのため、部門別の計画達成状況を推測することは、これまで以上に困難になっているが(そのためのスタイル変更か?)、以上のような記事内容からは、経済運営における全般的な連関性が一層重視されていること、そのため中央の指揮機能が強化され、一方で個別企業の利益追求といったことは相対的に軽視されざるをえない状況をうかがうことができよう。こうした趨勢の中では、いわゆる「企業自主権」といったものは、制約されざるをえないであろう。