rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年8月5日 評論「現防疫安全担保のための国家防疫体系の全一性確固として保障」

 

 標記評論は、「防疫大戦は祖国保衛戦、人民死守戦」との共通題目の下に掲載されたコロナ防疫関係記事の一つである。防疫活動の概況を説明(自賛?)しているので、紹介したい。

 まず、コロナ感染の現況については、「全国的に最近1週間、新たに掌握された有熱者がおらず、治療中患者がすべて回復したことによって、国の全般的な防疫情勢は確固たる安定局面に入った」として、収束を誇示している。

 また、防疫活動への取り組み状況については、「国家非常防疫司令部では、各地における非常防疫体系稼働状況を実時間(リアルタイム)で掌握了解すると同時に、該当機関との連携の下に各種治療案内指導書を適宜更新、示達しており、防疫・保健実践において成し遂げられた経験を総合して広く一般化する事業を実質的に展開している」と紹介しているのをはじめとして、様々な関係機関の活動を紹介している。

 そこで言及された主な機関としては、「各級非常防疫単位、治療予防機関」、「数万名の戸(家庭の意)担当医師と医療活動家」、「救急医療奉仕体系、遠距離医療奉仕体系など国家的に立てられた医療奉仕体系」、「中央級病院と各道、市、郡病院に組織された迅速協議診断組、迅速診断治療組」、「すべての部門、すべての単位の衛生熱誠活動家」などがある。

 これらの中には、重複もあるであろうが、コロナ蔓延を契機として、国内で防疫関連の機関・体制が急速に整備されたことがうかがえる。こうした危機対応力は、北朝鮮の得意技と言えよう。

 ちなみに、国家非常防疫司令部の発表によると、新規の「有熱者」は、7月29日以来なしとされており、治療中患者数も、8月3日以来発表がない(8月2日に5人とされていたところ、3日に回復者5人と発表されており、同日以降はゼロを意味)。また有熱者の累計数も、8月3日までに477万2813人とされて以降、発表がない。