rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年11月3日 北朝鮮の軍事活動、更にエスカレート(加筆版)

 

 昨日の本ブログで予測したとおり、米韓の軍事活動に対抗する北朝鮮の軍事活動は、更に拡大している。昨日来の動向を改めて列挙すると、次のとおりとなる(いずれも韓国軍発表による)。

 2日の動向

  • 午前6時51分ころ平安北道定州市と皮県郡付近から西海上に短距離弾道ミサイル4発
  • 午前8時51分ころ江原道元山付近から短距離弾道ミサイル3発(うち1発がNLL南側に落下)
  • 午前9時12分ころから咸鏡南道楽園、定坪、新浦付近から東(日本)海上に、平安南道温川、花鎮里と果日付近から西海上に、短距離弾道ミサイル及び地対空ミサイルなど10余発
  • 午前11時10分から韓国空軍F-15KとKF-16が精密空対地ミサイル3発を東(日本)海NLL北側公海上(「北朝鮮のミサイル着弾地域と相応した距離」)に「精密射撃を実施」
  • 午後1時27分ころ江原道高城郡付近から東(日本)海NLL北側海上緩衝区域内に砲兵射撃100発
  • 午後4時30分ころから5時10分まで、先徳、新浦付近から東(日本)海に、黄海道果日、温川付近から西海に、地対空ミサイルなど6発

(韓国報道によると、2日を通算した北朝鮮のミサイル発射は、4回、25発)

 3日の動向

  • 午前7時40分ころ平壌順安付近から東(日本)海に長距離弾道ミサイル1発(飛距離約760㎞、最大高度約1,920㎞、最高速度マッハ約15。機種は火星17、弾頭部分が分離後失速墜落と推測。なお、火星17の発射は、3月16日(当時は発射直後に墜落と推測)以来のこと
  • 午前8時39分ころ平安南道介川付近から東(日本)海に短距離弾道ミサイル2発(いずれも飛距離約330㎞、最大高度約70㎞、最高速度マッハ約5。機種は特定されず)

 また、韓国報道によると、米韓両軍は、北朝鮮の以上のような動向に鑑み、10月31日に開始され、11月4日までと予定されていた合同空中訓練の日程を延期することを決定した(延期幅については検討中)とのことである。

 日本でも、本日7時40分の長距離ミサイル発射に対応してJアラートを発令し、日本海に落ちたことが判明した後も、大騒ぎを続けているが、賢明な対応とは思えない。むしろ、国民の「安全・安心」あるいは平穏な日常生活を害しているとさえ感じる。本ブログでかねて指摘しているように、先般来の北朝鮮の行動は、米韓との対抗の中で生じていることであり、昨日来の動向も、外務省代弁人談話で予告されていた「想定内」の動きである。原因も狙いも明確な行動であり、日本が不安を感じる必要はどこにもない。

 火星17の発射は失敗であったので、もう少し飛んで日本の領海・領土内に墜落した可能性はあったのかもしれない。その意味で、Jアラート発令は間違いとは言えないが、その後の対応については、騒ぎすぎの印象を否めない。かえって、足元を見られるのではないだろうか。

 いずれにせよ、米韓側も、合同訓練の延長決定など、「強には強」の対応で臨む姿勢をますます顕著にしており、当分、双方のエスカレートは収まりそうにない。日本政府には、毅然かつ粛々とした対応を期待したい。

以下加筆

 本日、夜になって、更に以下のような動向があった。

  • 午後8時38分ころ、朝鮮中央通信が朴正天秘書の新たな談話を報道

   〇 米韓による「ビジレントストーム」訓練の期間延長(韓国空軍が午後2時ころ発表の由)に言及、「極めて危険で誤った選択」であり、「現状況を統制不能の局面へと推し進めている」、「取り返しのつかないとてつもない失敗」などと非難

  • 午後9時35分ころから49分ころまでの間、黄海北道谷山付近から東(日本)海上に短距離弾道ミサイル3発を発射(射距離約490㎞、高度約130㎞、速度約マッハ6)
  • 午後11時28分ころ江原道金剛郡付近で東(日本)海上に砲兵射撃80余発(弾着地点は海上緩衝区域内=9・19軍事合意違反)

 まさに想定したとおりの展開といえるが、これだけではすまないであろう。