2022年11月7日 米韓空中訓練「ビジレントストーム」への「対応軍事作戦」の概要
本日報道された標記「対応軍事作戦」の初日(11月2日)から4日目(同5日)の作戦行動の概況は、下表のとおりである。
韓国側のこれまでの関連発表と比較して注目されるのは、①NLL南側への着弾が指摘された2日午前の江原道からの短距離弾道ミサイル発射についてまったく言及していないこと、②同日午後、韓国側のNLL北側への爆弾発射に対応して蔚山沖に戦術巡航ミサイル2発の報復打撃を行ったと主張していること(韓国側からは関連発表なし)、③4日の空軍訓練の出動機数(500機)が韓国側発表(延べ飛行回数180回)よりも相当大きいこと、などである。①については、しらばくれるつもりなのであろうか。また、②については、対応能力誇示のためのでっち上げなのか、あるいは、韓国側が探知できなかったのか判然としない。③についても、韓国側の探知能力の問題もあろうが、やや「盛っている」可能性は否定できないであろう。いずれにせよ、全体に米韓の動きに対して、決して劣勢にあるわけではないことを誇示する狙いがうかがえる。
米韓空中訓練「ビジレントストーム」への「対応軍事作戦」(11月2日~5日)の概要 | |||
日 | 目的・想定 | 活動概要 | 韓国側発表 |
2午前 | 敵空軍基地打撃 | 平安北道ミサイル部隊、西海閘門前無人島に散布弾戦闘部と地下浸透戦闘部を装着した戦術弾道ミサイル4発発射 | 午前6時51分ころ平安北道定州市と皮県郡付近から西海上に短距離弾道ミサイル4発 |
8時51分、江原道元山付近から短距離弾道ミサイル3発(うち1発がNLL南方26㎞(束草東方57㎞)の公海上に着弾 | |||
2午前・後 | 多用な高度と距離の空中目標を消滅 | 西海湾沿岸防空ミサイル部隊、対空ミサイル23発発射 | 午前9時12分ころから咸鏡南道楽園、定坪、新浦付近から東(日本)海上に、平安南道温川、花鎮里と果日付近から西海上に、短距離弾道ミサイル及び地対空ミサイルなど10余発 |
午前11時10分から韓国空軍F-15KとKF-16が精密空対地ミサイル3発を東(日本)海NLL北側公海上(北朝鮮のミサイル着弾地域と相応した距離)に精密射撃 | |||
2午後 | 敵の「我々側公海上」への誘導爆弾投下に対応 | 咸鏡北道から射距離590.5㎞・蔚山沖80㎞に戦術巡航ミサイル2発で報復打撃 | ・ 午後1時27分ころ江原道高城郡付近から東(日本)海NLL北側海上緩衝区域内に砲兵射撃100発 ・ 午後4時30分ころから5時10分まで、先徳、新浦付近から東(日本)海に、黄海道果日、温川付近から西海に、地対空ミサイルなど6発 |
3 | 敵の作戦指揮体系麻痺の特殊機能戦闘部の動作信頼性検証 | 国防科学院の要求により、重要な弾道ミサイル試験発射 | 午前7時40分ころ平壌順安付近から東(日本)海に長距離弾道ミサイル1発(飛距離約760㎞、最大高度約1,920㎞、最高速度マッハ約15。機種は火星17、弾頭部分が分離後失速墜落と推測 |
3 | 敵の戦争挑発狂気一掃のための対応の一環 | 超大型放射砲弾と各種戦術弾道ミサイル5発、長距離放射砲弾46発を東海上に発射 | ・午前8時39分ころ平安南道介川付近から東(日本)海に短距離弾道ミサイル2発(飛距離約330㎞、最大高度約70㎞、最高速度マッハ約5。機種不詳) ・午後9時35分ころから49分ころまでの間、黄海北道谷山付近から東(日本)海上に短距離弾道ミサイル3発を発射(射距離約490㎞、高度約130㎞、速度約マッハ6)。機種スカッドCと推測 ・午後11時28分ころ江原道金剛郡付近で東(日本)海上に砲兵射撃80余発(弾着地点は海上緩衝区域内) |
4 | 敵訓練への対応意志表示 | 空軍の大規模総戦闘出動作戦(3時間47分、500機の各種作戦機を動員) | 4日午前11時ころから午後3時ころまでの間に軍用機(戦闘機及び爆撃機)約180回の飛行を確認 |
5 | 敵空軍基地打撃 | 西海閘門前無人島に散布弾戦闘部を装着した戦術弾道ミサイル2発と超大型放射砲弾2発を発射 | 午前11時32分ころから59分ころまで平安北道東林付近から西海上に短距離弾道ミサイル4発発射(飛行距離130㎞、高度20㎞、速度約マッハ5。機種未発表) |