rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年1月29日 社説「党中央の構想と意図を実現する上で道党委員会の役割を決定的に高めよう」

 

 標記社説は、先の党中央委員会第8期第6回全員会議で金正恩が「報告」の中で、党関係で道党委員会及び道党責任秘書の役割向上を訴えたことを受け、会議報道では明らかにされなかった当時の発言にそって、その趣旨を敷衍したものと考えられる。

 まず、道党委員会の基本的位置づけとして、「党中央の特別補佐単位」とされたことを明かしている。また、そこには、「党中央と直接つながっている党組織、党中央が第一に重視する党組織、党中央の目と耳となり手足となるべき党組織という大きな信頼が込められている」と主張している。

 その上で、道党委員会に求める最初の具体的課題は、「(管内にある)市、郡の同時的で均衡的な発展を成し遂げ、農村振興を強力に促進し、国家復興のしっかりとした土台を準備」することである。そのため、「市、郡が自らの地域の特性に合わせて方略を探求するように、方向を正しく定め、執行状況に対する総括を強化し、競争熱意を鼓舞して不断に革新を志向する雰囲気を高潮させていく」ことを求めている。

 次にあげる課題は、「(道党委員会の)組織力と展開力、活動性を非常に高め」ることである。中でも、「党中央の唯一的領導体系について、言葉でだけ・・ではなく、実際に幹部が透徹して誠実な姿勢と立場で敬愛する総秘書同志の領導を奉じていくよう不断に教養し覚醒させていく」ことを強調している。同時に、「人民の声に常に耳を傾け、人民の要求と利益を最優先、絶対視し、・・彼らの心を党中央委員会にしっかりとつなげる」ことも求めている。

 一方で、「道の経済発展と人民生活向上のための事業を直接掌握し、頑強に推進し実際的な変化をもたらさなければならない」として、経済活動への指導強化も訴えている。

 また、「道党委員会各部署の機能を決定的に高めなければならない」と主張するとともに、「道党責任秘書の役割を高めることが特に重要である」として、「道党委員会責任秘書は党中央の派遣員であり、道の司令官である」と、その役割の重要性を強調している。「党中央の派遣員」という表現には、金正恩との直接的連携を強調して奮起を促すという狙いと同時に、国家的見地を忘れず、「地方本位主義」に陥らないようにとの戒めが込められているのであろう。

 金正恩は、これまで、細胞秘書、初級党秘書、市・郡党秘書に対しては、それぞれを対象とした大会・講習会などを開催して、その役割・機能の強化などに関する著述を行ってきた。今次「報告」での道党委員会・責任秘書に対する言及は、それに準じるものといえよう。本社説は、その骨子をうかがわせるものとして注目の価値があると考え紹介した次第である。