rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年9月5日 国防省公報室長が米韓合同軍事演習などを非難の談話発表

 

 本日、朝鮮中央通信は、「挑発者は情勢激化の重い責任から絶対に逃れられない」と題して米韓合同軍事演習の実施等を非難する同日付け国防省公報室長の談話を報じた。その骨子は、次のとおりである。

  • 「去る8月19日から29日まで、各種戦闘機200余機と米陸軍の化学・生物・放射能および核攻撃対応部隊、『国連軍司令部』所属の追随国軍隊まで投入して合同軍事演習『ウルチ・フリーダム・シールド』を史上最大規模で強行した敵対勢力は、8月26日から連合上陸訓練『双龍』を狂乱的に繰り広げている」
  • 「一方、韓国の軍事ごろつきは去る8月初め、われわれの南方の国境5キロ界線に戦車をはじめとする攻撃用武装装備を送り込んで旅団級野外機動訓練を展開」するなど、「この2カ月間、米・韓の軍事ごろつきは・・各種の挑発的な戦争演習に狂奔した」
  • 「我が国家の絶え間ない防衛力構築とその攻勢的な適用こそ、米・韓が追求する戦争演習騒動の危険性を無力化させ、地域の不安定さを統制、管理できる唯一の方途になる」
  • 「我が軍隊は、朝鮮半島地域の安全環境を脅かす米国と韓国の軍事的妄動を絶対に許さず、力と行動で国家の安全と地域の平和を徹底的に保証していく」

 韓国の報道などから見ても、最近の米韓による軍事演習などの動向は、従前の規模・水準を超えて強化されていることは間違いないように思われる。端的に言うと、かなり「挑発的」との印象さえ禁じ得ない。

 それにもかかわらず、北朝鮮がこれまでのところではあるが、以前のような対抗演習やミサイル発射などの実際行動は示さないまま、この程度の談話発表で対応しているということは、ある意味で注目すべきことかもしれない。

その背景として、北部水害の復旧や地方発展プロジェクトへの軍部隊動員などがあるとも考えられるが、果たして、それだけなのか、「挑発」には乗らないという知恵が働いているとも考えられる。あるいは逆に、今後、何らかの「力と行動」の誇示があるのかもしれない。慎重に検討・注視の必要があろう。