rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年9月28日 評論「官僚主義の温床」

 

 本日の「労働新聞」に掲載された標記評論(筆者:本社記者尹明哲・音訳)は、幹部の能力不足を官僚主義と言う視点から批判したものである。

 まず、「我が幹部の中では自分を官僚主義者であると言う人はいない」が、「官僚主義がどうしてしばしば発露され前進する隊伍に冷水をあびせるのか」と問いかけ、「それに対する答えは様々なところに求め得るが、最も重要なことは、それ(官僚主義)がまさに無能力に起因するということである」と主張している。

 続けて、無能力と官僚主義の関係について、「幹部が知るところが不足し、能力がなければ、自分が託された任務を責任を持って遂行しようとしても、それは単なる主観的欲望に終わり、党が付与した職権も威勢を示す道具になり、党と大衆を離脱させる厳重な結果を招来することになる」と説明している。

 そして、そうした問題が普遍的なものであることについて、「知識の貧困、実力の不足により・・莫大な損失を及ぼし、ひいては党に対する人民の信頼をそこねる一部幹部の過誤は決して過去の出来事ではない」、「知らなければ官僚主義者になり、知れば先駆者になるのがまさに今日の現実である」と主張するにとどまらず、「実際、ある幹部たちは・・学ぶことを恥ずかしいこととみなし・・努力しようとさえしないでいる」ことにも言及している。

 また、結びの部分では、改めて、「学歴や経歴、年齢などを前面に押し立て、発展する現実、時代の流れに顔を背ける幹部は・・主観と独断、官僚主義に陥るほかないのは火を見るよりも明らかな道理である」と繰り返した上で、「幹部であるならば・・自問してみるべきである。私は果たして実力で働いているのか、看板や職権で官僚主義を振り回していないか」として、すべての幹部に自省を促している。

 おそらく、担当業務に必要な能力・識見が不足している人に限って、それを隠ぺいするために、地位に基づく権限を振り回して、自分の面子を取り繕うとするということは、古今東西を通じた普遍的な現象なのであろう。同評論は、北朝鮮においても、そうした現象が生じていること、とりわけ、その結果、人民の党(体制)に対する信頼を損なっていることを改めてうかがわせてくれるものといえよう。