2024年12月14日 ロシア駐在北朝鮮大使館による宴会開催を報道
本日の「労働新聞」は、ロシア駐在北朝鮮大使館が、12月12日、朝ロ間の包括的な戦略的同伴者関係に関する条約の批准に際し、宴会を催したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。
- ロシア側招待者:アレクサンドル・コズロフ天然資源環境相(朝ロ政府間貿易経済及び科学技術協力委員会ロシア側委員長)、ミハイル・ガルーチン外務省副相、アレクサンドラ・ポーミン国防相副相ら
- 演説:ロシア側の上記3人が演説
- 外務副相演説の注目点:「(同)条約が朝鮮半島と東北アジア地域のみならず全世界の戦略的安全維持に寄与することになるだろうと強調」
- 国防副相演説の注目点:「(同)条約締結は、東北アジア地域の緊張緩和過程の強力な推進力となり、地域の勢力均衡を維持する上で貢献し、新たなユーラシア安保体系創設構想を実現するための最も強固な基礎となるであろうと述べつつ、両国間の伝統的な親善関係が朝鮮半島と世界の平和と安全保障に大きな寄与をするだろうとの確信を表明」
同記事で、まず注目されるは、北朝鮮大使(申洪哲・音訳)の演説に関する言及がないことである。招待を受けたロシア側からは3人が演説をしたにもかかわらず、宴会主催者側が演説をしないということは考えられない。そうであれば、何か報道したくない事情があったのだろうか、誠に不可解としか言いようがない。これに関連して、同宴会の主催者が、「駐ロ大使」ではなく、「駐ロ大使館」とされたことも、10日に開催されたロシア側の宴会(11日付け本ブログ参照)が「駐朝ロシア大使」の主催であったのとは微妙に異なっており、気になるところである。
また、両宴会の出席者のランクを比較すると、北朝鮮側には外相のみならず最高首脳クラスの崔竜海最高人民会議常任委員長が含まれていたのに対し、ロシア側からは閣僚クラスは天然資源相1人だけであることも指摘できる。これは、端的に言えば、北朝鮮がロシアから軽く扱われていることになろう。
一方、今次宴会でのロシア側発言内容に関しては、両国関係緊密化を地域情勢にとどまらず、世界規模に安全保障に関連させていこうとの意向が改めてうかがえる。また、国防省副相の「新たなユーラシア安保体系創設構想」への言及も注目される。管見の限りでは、これまでの北朝鮮との交流の中では、余り示されることのなかった概念と思われるが、具体的にどのような構想なのであろうか、北朝鮮側は、それに合意しているのであろうか。