rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2025年8月24日 改良新型対空ミサイルの戦闘的性能検閲射撃を金正恩が参観

 

 朝鮮中央通信は、本日、ミサイル総局が8月23日、「改良された二種類の新型対空ミサイルの戦闘的性能検閲(点検)のため多様な目標に対する射撃」を実施し、金正恩がこれを「参観」したことを報じる記事を配信した。ただし、本日付け「労働新聞」は、同記事を掲載していない模様である(午前11時時点でホームページに掲出なし)。同記事の骨子は、次のとおりである。

  • 金正恩以外の参観者:趙春龍党秘書、金正植党(軍需工業部)第1副部長、金光赫空軍司令官(空軍大将)、金勇換国防科学院院長
  • 検閲結果:「新型対空ミサイル兵器体系が無人攻撃機巡航ミサイルをはじめとした多様な空中目標に対する戦闘的速応性が優れており、稼働及び反応方式が独創的で特別な技術に基づいていると評価」、「特に、改良された二種類の弾の技術的特性は多様な空中目標掃滅に大変適していると認定」
  • 金正恩言動:「国防科学研究部門が党大会を前にして貫徹すべき重要な課題を段取り」

 

 北朝鮮報道機関が対空ミサイル関連の動向を報じるのは、ミサイル総局が「3月20日、当該の軍需工業企業所で本格的な生産に入った最新型対空ミサイル兵器システムの総合的戦闘性能を点検するための試射」を実施し、金正恩がこれを参観したことに続くものである。

 今次記事の添付写真は、参観時の金正恩及び上記参観者の姿のほかは、空中で飛翔・爆発するミサイルの遠景だけで、地上での発射状況やミサイル本体の形状などを示すものはない。 記事の内容からしても、おそらく弾頭部分に力点が置かれていたことがうかがえ、3月に試射したミサイルの弾頭部分を中心にした改良の可能性が考えられる。

 ウクライナ戦争の戦訓などを踏まえつつ、とりわけ無人機、巡航ミサイルなどに対する攻撃能力の強化を目指しているのであろう。

 ただし、ウクライナ戦争の現状を見ると、ロシア本土の軍需・産業施設などに対するウクライナによる空襲が連日のように伝えられており、ロシアの防空能力は、事実上、ザル状態とも言える状況である。北朝鮮の防空能力強化が、巷間伝えられるように、そうしたロシアからの技術支援を得て進められているとするならば、その実力はさほどのものではないと見るべきであろう。

 なお、冒頭に記載のとおり、同記事は、「労働新聞」には掲載されていない。金正恩の関連動向に関するこうした報道ぶりは、前例があるとはいえ、かなり特例的なものであり、同射撃が専ら対外的な発信(実施中の米韓合同軍事演習への対抗姿勢誇示)を狙いとしたものであることを示唆しているといえよう。ちなみに、3月の対空ミサイル試射も、「フリーダム・シールド2025」(3・10~20)の期間中(最終日)であった。