rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

特別論稿

2022年9月14日 ウクライナ事態の「教訓」と朝鮮半島問題への含意 ロシアによるウクライナ侵攻開始以来、半年余りが経過し、その展望は定かでないものの、北朝鮮ウオッチャーとして、そこに様々な「教訓」を読み取ることができたように思われる。雑駁…

2022年4月7日 金正恩がウクライナ事態から得るべき本当の教訓 表記に関しては、巷間、かつてウクライナが米英ロ3国の安全保障約束を信じて旧ソ連時代から領域内に配備されていた核兵器を放棄(よりによってロシアに移転)したことを想起しつつ、そう…

2022年2月11日 コロナ渦が北朝鮮経済に及ぼした影響について 標記について、我が国あるいは韓国などでの評価が自国の状況をそのまま投射(あるいは、それよりも一層深刻であろうと推測)したために過大なものになっているのではいかとの印象をかねて…

2021年5月4日 「旧ソ連の経験を通じてみる北朝鮮経済」(補論) 標記問題については、4月27,28日の本ブログで2回にわたって論じたのだが、本日別項で論じた「集団主義」に関する論説において、北朝鮮経済について「すべての部門、すべての単位…

2021年4月28日 旧ソ連の経験を通じてみる北朝鮮経済(後) 前述のソ連の経験に即して北朝鮮経済を論じると、次のようなことが言えよう。 まず、①は、北朝鮮が長年必死の努力を続けているにもかかわらず、結果的に見るべき経済成長を実現できずにいる…

2021年4月27日 旧ソ連の経験を通じてみる北朝鮮経済(前) 最近、たまたま、以前ある方からいただいた『経済体制と経済政策』(丹羽春喜)という本を読み返した。同書は、ソ連崩壊のしばらく後(平成6年=1994年)に出版されたもので、ソ連の「…

11月10日 北朝鮮の今後の対米政策予測(特に、当面の「冒険的行動」の可能性について) 本稿は、11月6日の本ブログを承けて、北朝鮮のバイデン政権発足に向けた対米政策を検討するものである。 本論に入る前に、6日付けブログで論じたトランプ政権の…

11月6日 トランプ政権下米朝交渉は何故結実できなかったのか 米国大統領選挙の結果は、正式には確定していないが、事実上、バイデン勝利に終わりそうである。そこで、トランプ政権が進めた北朝鮮との非核化交渉は何故結実できなかったのか、バイデン新政…

9月26日 漂流韓国人射殺事件コメント 標記事件に関し、当面注目される、①当該韓国人の漂流経緯(本当に「越北」を目指していたのか)、②射殺の決定は誰によってなされたのか、③統一戦線部の「通知文」送付(特に金正恩の「謝罪」表明)の狙い、④同事件が…

9月18日 崔富日について(訂正・加筆版) 今日は、「労働新聞」には、見るべき記事もないので(災害復旧関係では、先の視察時における金正恩の賛辞を敷衍して軍の貢献を称賛する「政論」と第1首都党員師団における政治教育などをとりあげた一連の記事が…

9月4日 「委任統治」論について(9月5日加筆訂正版) 本日、ある方が韓国・世宗研究所北韓研究センター長である鄭成長博士の標記に関する論稿「金正恩の『委任政治』と北韓パワーエリートの位相・役割変化」(世宗論評21号)を紹介して下さった。 本ブ…

8月28日 金正恩の会議主宰状況が示すものとは 一昨日の某衛星テレビチャンネルの報道解説番組で、北朝鮮の政治状況を取り上げ、このところ、①金正恩の主宰する各種会議の報道頻度が大幅に増加している、②それら会議の着席スタイルが、従前は金正恩一人が…

8月1日 朝鮮戦争停戦協定雑感 去る7月27日が朝鮮戦争の停戦協定締結67周年に当たることは、本ブログでも紹介したとおりであるが、その折、同協定締結の意義について心に浮かんだことがある。 周知のとおり、当時、韓国の李承晩大統領は同協定の締結に…

6月15日 「太陽政策」補論 先ほどのブログで「太陽政策」に言及したが、「6・15」20周年でもあるので、それに関し、若干の卑見を補足したいと思う。 まず、その本質は何かということである。いわゆる「北風政策」との対照性に着目する余り見落とされ…

5月8日 金与正は、実際には序列何位なのか?(多分、第5位) このところ金与正に注目が集まっている。ただ、「実質ナンバー2」という一部報道は、現状では過大評価であるというのが本ブログの主張である。では、実際には何位なのか。金与正が2020年…

3月25日 「本当に信じることのできる戦争抑止力」の意味すること(3・24記事に加筆) 22日の本ブログにおいて、北朝鮮の新型ミサイル発射に関連し、金正恩が新たに開発・配備されつつある武器体系を「本当に信じることのできる戦争抑止力」と述べた…

2月17日 書籍紹介:韓基範『北韓の経済改革と官僚政治』(図書出版北韓研究所、2019年7月) 今日の「労働新聞」は、昨日に続き金正日の追慕ないし各地の「光明星節」の様子などに関する記事が多く、関心をひかれる記事が見当たらなかったので、異例…

1月10日 「正面突破戦」とは何か(総括的評価) 金正恩が昨年末の中央委員会全員会議において、「正面突破戦」を打ち出した後、「労働新聞」紙上には、同会議の状況を伝える記事及び同会議決定を敷衍・解説する論評などが様々掲載されてきた。その一部は…

12月15日 最近の米朝交渉関連動向(暫定的分析) 米朝交渉をめぐる北朝鮮の動向については、「労働新聞」にはほとんど報じられないことから、本ブログでは、これまで詳細・具体的な検討は行わないできた。 しかし、最近、北朝鮮が設定した「年内期限」が…

11月11日 北朝鮮は何故、文政権を冷遇しているのか 本日は、労働新聞から離れて、標記についての思いつきを書き連ねてみました。 誠に未整理ながら、何かの参考になれば幸いです。 問題の所在 韓国文政権に対する北朝鮮の冷たい対応が続いている。最近の…

10月22日 北朝鮮分析の方法論をめぐる試論 今日は余り注目される記事もなかったので、10月15日付けの記事の末尾に書いた「私独自の北朝鮮分析の方法論」を披瀝させていただく。 なお、以下の論稿は、約2年前に自分の考えを整理するために執筆し、その後、ご…

10月14日 北朝鮮にとっての核戦力の効用(草稿)~その2 昨日の続きです。 3 核戦力の限定的使用の可能性 本項では、前項での北朝鮮核戦力の持つ抑止力の限界に関する検討を補うために、北朝鮮による核兵器の限定的使用の可能性について検討したい。何故な…

10月13日 北朝鮮は、本当に「非核化」に応じる気があるのか? 標記の点は、多くの人が疑問に思っていることと思います。 私は、結論として、「絶対にない」と決めつけるだけの根拠は存在しないと考えています(だからと言って、「絶対に応じる」とはもちろん…