rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月4日 果樹部門でも「担当責任制」を実施

 

 本日、「科学果樹の旗幟を高く掲げ果物生産において革新を起こそう ホウォン担当責任制が効果を発揮するように 東林果樹農場竜渕第1作業班において」(地名音訳)と題する記事が掲載された。

 この記事は、果樹部門において、穀物耕作における「甫田担当責任制」に準じる形で、一定の区域の果樹の栽培管理を特定の農場員に分担させる制度が実施されていることを示すものと考えられる。実は、恥ずかしながら「ホウォン」(호원)の訳語が分からない(「ウォン」は多分「園」であろうが、「ホ」が分からない)のだが、おそらく果樹園において、穀物耕地でいう「甫田」に相当する区域を指す言葉であろう。

 同記事は、この作業班が果物生産で良好な成果を収めた理由を「党の意志どおりホウォン担当責任制を正確に実施し、作業班員たちの生産意欲を最大限高めたことにある」とした上で、同制度の適用について、次のように紹介している。

 「(同)作業班では、大衆の意思を充分に反映してホウォン担当責任制を正確に実施するための施行細則を立てた。これに基づき、作業班員たちにホウォンを明白に分担させた」。

 このような記述からは、「ホウォン担当責任制」が「甫田担当責任制」と同様、農場員の生産意欲向上を狙いとし、作業班の中での各自の分担区域を細分化した形で、細則などの規定に基づいて実施される制度であることがうかがわれる。

 穀物部門のみならず果樹部門においてもこのような制度が実施されていることは、北朝鮮指導部が生産単位の細分化(個人化)による物質的インセンティブの強化が勤労意欲向上ひいては増産促進に有効であることを認め、それを幅広く実施する意向であることを改めて示すものといえよう。

 あわせて、指導部が果樹部門についても、穀物部門に劣らぬ関心を払っていることを示すものともいえよう。かねて繰り返し主張していることであるが、それは、北朝鮮の食糧事情が少なくとも飢餓などを心配する水準からは脱したことを意味すると考えることができよう。くどいようだが、多くのメディアでいまだに北朝鮮というと「苦難の行軍」時代の飢餓児童の映像が紹介され、それが再来するかのコメントをする「専門家」も散見されるので、敢えて指摘する次第である。