rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月28日「分組管理制の優越性を高く発揮して」(3月29日記)

 

 標記の共通タイトルの下で掲載された二つの記事を紹介したい。

 一つ目は、「分組強化こそ穀物生産実績」と題する記事である。同記事によると、昨年は「全国的に1万5,500余個の多収穫分組が続出」し、「これは、その前年に比して2.1倍も多い」とのことである。

 同記事は、そうした多収穫分組を多く輩出した地域の取組みを紹介している。それによると、「最初に分組長隊列をしっかりと整え、彼らが責任制と役割を高めるよう導いた」。次に「営農時期別に社会主義競争を組織するとき、農場、作業班はもちろん分組別指標も示して総括評価事業を行うようにした」。要するに、作業班ごとの成績を明示させたということであろう。三番目は「分組において農場員たちの労力日評価を労働の量と質にしたがって適時に正確に行い社会主義分配原則の要求を徹底して守るよう要求性を高めた」。つまり、分組員ごとの実績評価をしっかり行い、それを配分に反映させるよう強く指導した、ということであろう。そうした要求を強く行ったということは、換言すると、現場では、ややもすると個人の実績を無視した一律的な分配がなされる傾向があるということなのであろうか。

 二つ目の記事は、「農場員大衆の意思に合うよう 定坪郡西経協同農場において」(地名音訳)と題し、甫田分担制に関するものである。同記事は、「農場員たちにいかなる考慮もなく甫田を分担させて相当の成果が出るのを期待することは、木から熟した果実が自ずと落ちてくるのを望むのと同じである」として、同制度の実施において、様々な工夫が必要なことを訴える。

 まず、誰にどの土地を担当させるかを決定しなければならない。この農場では、それを「農業を行う上で不利な土地は初級幹部や革新的な農場員たちが受け持つ原則」で行ったという。そうして土地分担を決めた上で、今度は「土地等級、耕作条件、過去の町歩当たり平均生産高と営農物資保障状況などを考慮して、農業生産計画を綿密に立て」ることによって、「甫田担当者たちがその遂行に積極的に奮い立つことができるようにした」と紹介している。

 これを読む限りでは、農場員は、本来的には、甫田分担制にさほど積極的ではなく、むしろ、諸々の点をめぐって不満を言う傾向があり、それが出ないように当初の計画を綿密に行うことによって、円滑な取り組みがなされるようになるというのが実情のようである。

 最初の記事の内容と合わせても、外部からは評価されるいわゆる「市場経済的要素の導入」は、意外と農場員からは歓迎されておらず、むしろ「上からの改革」を押し付ける形で実践されているような印象を拭えない。それら施策が、計画経済で抑圧されていた農場員の自主的意欲を解放し、生産の増大を招くというストーリーは、実は「神話」であり、実情は、そういった施策で平等主義に慣れた農場員の尻を叩いて真面目な取り組みを促しているといったところなのかもしれない。