rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月23日 「皆が社会主義愛国功労者たちのように闘争しよう!」(24日記)

 

 本記事には、「コメで党を奉じ社会主義を守っていく真の愛国農民たち」との副題が付されている。実は、このタイトルを見て最初に連想したのは、かつて紹介した「愛国米献納」の動きで、それに参加した人々を顕彰する記事かと思ったのだが、そうではなかった。「愛国米献納」については、その後、労働新聞紙面を見ている限りでは(精密に読んでいるわけでないので確かなことは言えないが)、少なくともキャンペーン的な動きはない模様であり、生産者の勤労意欲促進の面から言っても、幸いなことであろう。

 それでは、この記事では誰が紹介されているかというと、様々な取組み、努力によりコメ増産に組織として成果を上げた各地協同農場の管理委員長1人と作業班長3人である。作業班は、協同農場の中間的単位であり、その下に分組が置かれる。

 これまで農業面での改革的施策は、主に分組レベルで行われ、その構成人数を少なくしたり、更には特定耕地を個人単位に分割(甫田担当責任制)したりしてきた(11月23日付け本ブログ参照)。

 しかし、この記事は、前述のとおり協同農場単位あるいは作業班単位での増産取り組みに焦点をあてている。また、同日には、標記記事の外、「今年農業生産で先頭に立った単位の経験」との共通題目の下、それぞれ、協同農場及び作業班の経験を紹介する記事も掲載されている。

 これらの例だけを根拠に何かを言うのはあるいは早計であるかもしれないが、少なくとも、現在の北朝鮮指導部の農業政策が、運営の単位を分組更には個人へとどんどん細分化させる、すなわち協同農場の機能を実質的に空洞化させるような方向のものではないことは見て取れるのではないだろうか。

 何故そういうことを敢えて言うかというと、韓国などを中心に、希望的観測なのかは定かでないが、北朝鮮が中国流の「改革・開放」のあとをたどるという見方が根強く残っているからである。少なくとも現在のところ、北朝鮮人民公社を解体した中国と同じ道をたどる兆候は存在しないということを改めて確認しておきたい。