rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年5月6日 金正恩の第5回全国分駐所長会議参加者との記念写真撮影を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が5月5日、第5回全国分駐所長会議(4・30~5.1)の参加者と記念写真を撮影したことを報じる記事を掲載した。

 同撮影には、李太燮社会安全相、沈紅彬ド同省政治局長が同席したとされる。その際の金正恩の主な発言は次のとおりである。

  • 「分駐所長と安全員は、高い革命的原則、階級的原則を持って人民を真心を尽くして見守る誠実な保護者、いつも苦楽を共にする家族の一員になるべきであり、社会主義の我が祖国を侵害する全ての要素と断固たたかう鋭い刃となり、人民の革命偉業に対する信念を倍加させる巧みな政治活動家にならなければならない」
  • 「社会安全機関の全ての活動は人民を限りなく尊重し、人民の利益を絶対視し、人民のために忠実に奉仕することに徹底的に志向、服従されなければならない」
  • 社会主義祖国の政治的安全と人民の幸福を守るための聖なる闘争の前衛で、党と革命に対して担っている重大な使命と本分を果たすであろうとの期待と確信を表明」

 全国分駐所長会議については、5月2日の会議報道の後にも、4日付けの朝鮮中央通信が参加者が「政治文化事業を実施」として、祖国解放戦争参戦烈士陵、朝鮮人民軍武装展示館を参観、社会安全省芸術団体(複数)による総合公演を観覧、「革命保衛、制度保衛、人民保衛の聖なる使命と任務に限りなく忠実である上で提起される理論実践的問題を取り扱った講習」を受講などの活動を報じていた。同記事は、これを「会議期間中」としていたが、実際は、会議閉幕後の同様の活動を続けていたのであろう。その上で、5日に、それらの締めくくりとして金正恩との記念写真撮影が行われたものと考えられる。

 同会議に関しては、分駐所長をはじめとする社会安全部に対し、住民の人心収攬への寄与を強く求める方針を指摘(5月2日付け本ブログ参照)したところだが、今次記念写真撮影における金正恩の上掲発言(特に下線部)からも、同様の姿勢をうかがうことができる。

 もちろん、「社会主義の我が祖国を侵害する全ての要素と断固たたかう鋭い刃」、「社会主義祖国の政治的安全」などの表現から勘案して、各種の地下経済活動や「反動思想・文化」の蔓延阻止などが重要な課題なっていることも、また明白である。

 分駐所長をはじめとする末端治安機関には、そうした取り締まりと住民に対するいわば「善導」を表裏一体として推進することが期待されているのであろう。