rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年9月17日 第7回全国法務イルクン大会を開催

 

 昨日(16日)付けの「労働新聞」は、9月14、15の両日、標記大会が開催されたことを伝える記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 開催の狙い:「敬愛する金正恩同志の独創的な人民大衆第一主義法建設思想を全般的法務事業に徹底して具現して全社会に革命的な遵法気風を確立し、社会主義法律制度を確固として強化することによって、我が国家の全面的な富興発展を法的にしっかりと担保するため」
  • 主な参加者:崔竜海最高人民会議常任委員長、金在龍党秘書、金享植党法務部長、李創大国家保衛相、朴守日社会安全相、禹相哲中央検察所長、各級社会主義法務生活指導委員会メンバー、法務部署と検察、裁判、社会安全、検閲監督機関幹部、模範的な法務解説員、関連単位幹部
  • 主な内容:金正恩の書簡送付(内容非公開)。崔竜海の「報告」、参加者の「討論」(氏名非公開)、金正恩あて「宣誓文」採択

 同大会に関する報道は、概して抽象的で、これといった特徴は見当たらない。韓国・聯合通信の報道では、社会紀綱が弛緩している中、その引き締めを図ったものとの解説が示されているが、先入観にとらわれた見方のように思える。大会の報道を読む限りでは、治安状況に対するさほどの危機感は感じられない。

 むしろ、強いて特徴を挙げれば、「人民大衆第一主義」が強調され(それを象徴するのが「人民大衆第一主義法建設思想」といった表現)、人民のための法執行が求められていることのように思われる。これは、人民に対する統制強化というよりは、幹部による権力乱用などからの人民の保護といった側面を重視したものとも解釈できる。

 何よりも、本当に当該部門の活性化に腐心しているのであれば、金正恩が自ら出席するべきであろう。単なる「書簡」送付(しかも、内容報道なし)で済ませていることが、同大会の開催(前回から5年ぶり)が恒例的なものであって、格別の重要性を付与されたものではないことをうかがわせているといえるのではないだろうか。