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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年11月25日 第5回保衛幹部大会を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記大会が11月19日から23日の間、開催され、金正恩が大会参加者あてに書簡を送ったことを報じる記事を掲載した。同大会の概況は、次のとおりである。

  • 主な参加者:朴正天(党秘書)、李創大国家保衛相、朴守日社会安全相、禹相哲中央検察所長。「国家保衛省をはじめとした各級保衛機関と武力部門保衛機関の指揮メンバー、保衛員が参加」「司法、検察、社会安全部門幹部が傍聴」
  • 主な進行内容:①金正恩の「綱領的な書簡」を伝達(伝達者氏名不詳)、②「報告」(党中央委第一副部長・李熙勇)、③「討論」(参加者不詳)、④「部門別講習」、⑤「敬愛する金正恩同志に捧げる宣誓文」採択
  • 報告、討議の内容:「党の思想と権威をくまなく保衛することを保衛機関の第一の使命として最も重大な革命任務として堅持し、敵の悪辣な敵対行為と反共和国謀略策動を粉砕し、党と大衆の一心団結を鉄桶のように擁護し、反社会主義、非社会主義的行為を粉砕するための闘争を展開する過程で得られた成果と経験が紹介された」「保衛機関内に党中央の唯一的領導に絶対忠誠、絶対服従する革命的気風を徹底して確立・・することに言及」

 「保衛幹部大会」のこれまでの開催状況は、韓国聯合通信によると、金日成時代の1993年10月、人民軍保衛幹部大会として初めて開催された後、金正恩時代に入った2013年11月、金正恩出席の下、第2回大会が20年ぶりに開催されたが、第3回、第4回大会については開催状況は報道されていないという。

 したがって、今次大会の特徴は、従前(少なくとも第2回までは)、軍の保衛部門だけを対象としていたのと異なり、国家保衛省傘下の保衛部門と合わせた形で開催したことといえよう。ただ、そうした形式での大会開催が、軍保衛部門と国家保衛省との組織的関係における何らかの変化(連携の強化など)を反映したものであるのか否かは必ずしも明らかでない。

 もう一つ注目されるのは、軍の高位参加者としては国防相のみが挙げられ、軍総政治局長の名前がないことである。これは、軍の保衛機関が一時期のように総政治局の傘下に組み込まれているのではなく、むしろ、国防省の系列下に置かれていることを示唆するものといえよう。そして、「報告」を李熙勇第一副部長が行ったことからは、これら保衛部門が党の(司法・社会安全部門を統括するとみられる法務部ではなく)組織指導部の指導下にあることがうかがえる。

 なお、金正恩の書簡内容については、まったく紹介がなされていない。事柄の性格上、差し控えたのであろう。

 いずれにせよ、以上のような報道からは、各保衛機関の最大の任務が「党の思想と権威」の防衛であり、「党中央の唯一的領導」の徹底が組織としての最大の課題となっていることが改めてうかがわれる。