rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年12月7日 朝鮮人民軍第8回軍事教育幹部大会を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記大会が12月4日から5日の2日間、金正恩の参加・指導の下開催されたことを報じる記事を掲載した。

 同大会への参加者は、「模範的な軍事教育幹部と総政治局、国防省、総参謀部の該当幹部・指揮官、軍種・軍団級単位の指揮メンバと教育保障単位の功労ある幹部」とされ、金正恩以外の党高官としては、朴正天秘書、呉日正(軍政指導)部長の名前があげられた。

 大会では、金正恩の「開会辞」、李永吉国防相の「報告」、「討論」(複数、参加者氏名未報道)、「党の軍事教育革命方針貫徹状況を基本とした軍事教育機関の順位」発表と「模範的な単位(複数)」への「優勝旗」授与、金正恩の「結論」及び「閉会辞」、参加者に対する「講習」などが行われた。

 このうち、金正恩は、「開会辞」で「すべての軍事教育幹部に熱い感謝を送られた」のに続き、「結論」において、「我が革命が新たな勝利の次の段階へと移行している重大でカギとなる時期」である「現情勢下での軍事教育事業の重要性について重ねて強調」し、「すべての軍事教育幹部を党の思想と領導に限りなく忠実な真の教育戦士として準備させる」ことや「(軍事教育の)学生を党中央に絶対忠誠する指揮メンバーとして育成する」ことを求め、「このための諸般原則と軍事教育の発展方向、課題と方途を闡明」したほか「(軍事教育幹部)が帯びるべき基本品性について明らかにして下さった」という。

 その上で、参加者に対して「一身全力を尽くして軍事教育革命の新たな昂揚期、跳躍期を力強く開いていこうと熱烈に訴えられた」。また、「閉会辞」でも、同大会を契機として、「軍事教育を国家的に最も進んだ教育、革命武力の核心陣地強化に実質的に貢献する教育」にすべく貢献することを「重ねて要請された」という。

 一方、「報告」及び「討論」においては、「教員が政治道徳的品性と教育者的資質を備えて軍事学校の教育条件と環境、教育方法を一新させる事業において収めた成果と経験が紹介され共有された」と同時に、「思想的覚悟が不足したことから発露した一連の偏向とその原因が分析総括された」と報じられているが、その具体的内容については示唆されていない。

 このほか、大会の雰囲気に関しては、「我が党に絶対忠誠する有能な軍事人材をより多く育成していくとのすべての参加者の鉄石の意志と革命的熱情があふれる中で進行された」と伝えている。なお、「講習」については、内容、講師など一切明らかにされていない。

 以上の報道内容から判断する限りでは、今次大会の主な狙いは、軍事作戦・技術など側面よりも、むしろ政治教育すなわち人民軍内における党の指導の一層の強化にあったようにみえる。

 とりわけ、金正恩が指摘した「我が革命が新たな勝利の次の段階へと移行している重大でカギとなる時期」という表現に、最近しきりに強調されている「全面的発展」方針及び金正恩に対する「首領」呼称の広がりなどを重ねて考えると、そうした状況において、軍内での「党中央」すなわち金正恩に対する「絶対忠誠」の確立を改めて促進するためのものであったのではないかと考えられる。