rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月27日 朝鮮労働党第2回初級党秘書大会が開幕

 

 本日の「労働新聞」は、標記大会が26日、開幕したことを伝えるとともに、そこでの金正恩の「開幕辞」を詳細に報じている。

 まず、大会に参加したのは、①党政策貫徹において模範的な工場、企業所、協同農場(の)初級党秘書、分初級党秘書、②省。中央機関と道、市、郡級指導機関(の)初級党秘書、③道、市、郡党とそれと同等の機能を遂行する党委員会責任幹部、党中央委員会幹部、とされる。このうち、大会の趣旨から言って基本となるのは①で、文字通りの党の基層組織の代表といえよう。②は、国家の重要機関に置かれた初級党の秘書で、その役割の重要性に鑑みて基本的に全員が参加したとみられる。③は、初級党を指導する立場にある党組織の責任者、ということになる。

 出席を報じられた高位幹部は、「大会を指導」とされた金正恩のほかは、趙勇元(組織秘書)、李日換(宣伝扇動担当秘書)、金在龍(組織指導部長)、呉日正(軍政指導部長)、金永換(平壌市党責任秘書)、朱創日(音訳・党中央委部長)である。朱創日が何部の部長かは判然としない。前職が金日成総合大学副総長であるので、教育関係のようにも思えるが、そうだとすると今次大会との関係がよくわからない。

 大会初日の進行は、金正恩の「開会辞」に続いて、趙勇元が「報告」を行い、その後、8人の初級党秘書が「討論」を行ったとされる。

 このうち、金正恩の「開会辞」は、記事において「分を超えた評価」と紹介されたとおり、冒頭で、「(前回大会以来)苦労を多くしてきた初級党秘書に直接会い、感謝の心を伝えることができるようになった喜びを披歴」するなど、概して初級党秘書の成果と努力に対する肯定的評価・謝意を基調としたものであったようにみえる。もちろん、そうした成果称賛の一方では、「現実発展の要求に符合できない重大な偏向が現れている」ことも指摘し、「(前回大会以来)過去5年間(の)初級党組織の事業を批判的見地から総括し、非常に高まっている革命発展の要求に即して初級党事業を改善強化する上で中心となる方途を探し出し、全党の初級党秘書を武装させ、もう一度覚醒奮発させることに今次初級党秘書大会の重要な目的がある」ことを明らかにし、同大会を「初級党秘書の政治実務水準を一段階跳躍させる転換点」とするよう訴えている。それら問題点や注文の具体的内容への言及は、次の「報告」に譲ったのであろう。

 趙勇元の「報告」は、まず金正恩の初級党活動に対する指導を縷々賞賛した上で(これはあらゆる演説における必須の枕言葉になっている)、これまでの「成果と経験について指摘」したのに続き、今後の課題・留意点を列挙する構成となっている。成果としては、「党中央委第7期第5回全員会議と党第8回大会を分岐点として、全党の初級党組織において党決定を採択する過程が市総動員過程、作戦過程、任務分担過程へと転換され、党決定執行において無条件性、徹底性、正確性の気風が高く発揮された」ことや「人民に対する献身的服務精神」が徹底されたことなどをあげている。一方、「欠陥」としては、「党中央の唯一的領導体系確立」、「幹部隊列と党隊列の精幹化、精鋭化」、「自部門、単位に付与された基本革命課題遂行に対する党的指導」などの活動の不十分を挙げ、「(これら)欠陥の根本要因は、初級党秘書が一個の単位の党組織の責任を負う幹部として押し立ててくれた党の信任と期待を忘却し、事業において主線(中心目標の意)を逸して働いていることにある」と指摘した。

 その上で、「具体的な課題を提起」し、「党中央の唯一的呂湯堂体系」確立をはじめとして、「総秘書同志の革命思想で幹部と党員と勤労者を武装させるための思想攻勢」展開、「群衆との事業」「行政経済事業に対する指導、「農村里党委員会の機能と役割」活性化を挙げるとともに、活動推進において「最大の禁物である形式主義と行政実務化を克服」することを訴えた。

 初日の「討論」参加者としては、万景台革命事績館、新浦水産事業所、平壌市建設管理局西区公共建物建設事業所、採掘工業省、2月20日工場、興南肥料連合企業所窒安職場、祥元セメント連合企業所祥元石灰石鉱山、平壌日用品工場の各初級党秘書の名前が挙げられている。このうち、採掘工業省初級党秘書は、冒頭参加者分類の②に該当し、その他は①の「模範的」な人々なのであろう。

 2日目も「討論」が続くと思われる。

 コメントは、大会終了をまって付したい。