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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月8日 党中央委員会・道党委員会責任幹部の協議会を開催

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が6月7日、党本部庁舎において、標記協議会を招集したことを報じる記事を掲載した。

 同記事によると、出席したのは、金正恩のほか、常務委員である趙勇元組織秘書、金徳訓総理と党中央委秘書・部長(写真で確認できるのは、呉守容秘書兼経済部長、崔相建秘書兼科学教育部長、金才竜組織指導部長、朴太徳規律調査部長の4人)、各道党責任秘書(平壌南浦など直轄市も含むと思われる)である。写真では、会議参加者は、金正恩以下27人前後とみられる。

 同協議会では、「党中央委員会全員会議(6月上旬召集予定)を前にして、本年下半期の主要政策執行において提起される具体的実態を部門別に集中点検し、これを解決する上で提起される実務的問題について討議」したとされる。

 その中で、金正恩は、①「国家経済事業と人民生活保障に関連して当面適される問題を了解検討され、その実行のための重要な課題を布置」、②「党中央委員会全員会議を契機として国家経済事業と人民生活安定において実質的な転換をもたらすための構想を披歴」、③「責任幹部らが・・・献身奮闘することについて重ねて強調」、④「国の経済を成長させ、人民の物質的生活水準を高めていく上で提起される一連の対策的問題と関連した綱領的教えを下さった」とされる。

 このうち、①、②及び④は、実質的には同一の問題とも考えられる。要するに当面の経済建設及び人民生活の安定向上に向けた方針を提示したということに尽きるのではないだろうか。それらの具体的内容については、ここでは示されていないが、近々に開催予定の中央委員会全員会議において決定・伝達されるのであろう。

 中央委員会全員会議に先立ちこうした協議会を開催するのは、私の記憶している限りでは(その記憶があてにならないのだが)、少なくとも近年では異例のことではないだろうか。事前に各部門及び各地方の実情・意見を把握することによって、全員会議に提出する方針案を少しでも実情に即した現実的なものにしようとの狙いによるものと考えられる。