rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月28日 ミサイル発射を「偵察衛星開発のための重要試験」として報道

 

 本日の「労働新聞」は、「国家宇宙開発局と国防科学院、偵察衛星開発のための重要試験を実施」と題する朝鮮中央通信の記事を掲載し、昨27日実施したミサイル発射が、「偵察衛星開発のための工程計画」に基づく「重要試験」であり、その結果、「偵察衛星に装着する撮影機により地上特定地域に対する垂直及び傾斜撮影を実施し、高分解能撮影体系と資料伝送体系、姿勢操縦装置の特性及び動作正確性を確証した」と報じた。同記事には、宇宙から朝鮮半島付近を撮影したとみられる写真2葉が添付されている。

 なお、昨日のミサイル発射について、韓国軍の発表等に基づく韓国報道は、「午前7時52分、平壌順安付近から発射、咸鏡道吉州舞水壇里沖のアル島付近に着弾、高度約620㎞、飛行距離約300㎞。通常角度で発射すれば最大射程距離は2000㎞と推定。機種は、2017年2月12日、同年5月21日に発射された北極星2型(ないし、その改良型)と推測(なお、5月の飛行距離は約500㎞、高度560㎞)」などと説明している。

 北朝鮮の上記報道では、打ち上げに用いたミサイルについては、まったく言及していないため、それが本当に北極星2型であったのかは判然としないが、いずれにせよ、重要なことは、北朝鮮が「偵察衛星」のための「重要試験」を実施し、成功させたとしていることであろう。それは、すなわち、今後いずれかの時期における「偵察衛星」そのものの打ち上げを予見させ、そうした「衛星」打ち上げに利用されるロケットが事実上、大陸間弾道ミサイルと同一のものとみなされているからである。

 結局のところ、こうした北朝鮮の動きは、ウクライナ情勢に米国の関心ないし力量が向かっているすきをついて、先般の政治局会議で「検討」を表明した大陸間弾道ミサイル発射等のモラトリアム中断をいよいよ実施する構えを示したものといえる。それが、米国への圧迫を主たる狙いとするいわば交渉戦略的なものであるのか、あるいは既成事実構築を狙いとしたものであるのかは、慎重に検討の必要があろう(巷間の分析では前者の見方が主流であるが)。