2021年12月6日 11月分経済計画遂行状況報道せず
これまで本ブログでもその都度紹介してきたように、「労働新聞」は、先月まで、毎月初め(概ね3日前後)に前月の経済計画遂行状況を主要部門ごとに報じる記事を掲載してきた。
しかし、12月には、本日までのところ、各部門の経済建設への取り組み(奮闘している由)を伝える記事はあっても、11月分の計画遂行状況を直接論じた記事は掲載されていない。
順調であれば、これを報じない理由はないと考えられるので、おそらく芳しくない状況にあるのではないだろうか。その一方で、1日に開催された党中央委第8期第5回政治局会議における金正恩の発言では、今年の成果を肯定的に評価した旨が報じられており、そこに何がしかの乖離を感じざるをえない。
ちなみに、朝鮮中央放送のTVニュースでの同会議の報道を見ると、金正恩が話している場面が延々映し出されているが、彼は概して苦々しいような表情を浮かべており、笑顔は余り見られなかったように感じた(印象談だが)。ここにも、報道された比較的肯定的な発言内容との齟齬が感じられる。
金正恩時代の報道の特徴として、これまでは、問題点などについても比較的率直に提示する傾向が指摘されていたが、仮に、それが再び過去の称賛一色に戻るとしたら、それは退行と言わざるを得ず、体制の前途も暗いと見ざるを得ないであろう。
なお、余談であるが、同政治局会議の名称が第8期第5回とされているところ、前回報道されたのは、9月2日開催の第8期第3回拡大会議であった。要するに、第4回会議に関する報道がなされていないわけで、それがいつ開かれ、何が決められたのかは謎としかいえない。一つの可能性としては、第3回拡大会議の開催の5日後の9月7日に報道された「政治局公報」で示された常務委員、政治局委員の人事などがそこで決定されたというシナリオも考えられるが。憶測にすぎない。透明性向上の傾向はあるにせよ、まだまだ謎は尽きないのが北朝鮮の報道である。