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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月2日 党中央委員会第8期第17回政治局会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が12月1日開催されたことを報じる記事を掲載した。同記事の伝える同会議の概況は、次のとおりである。

  • 会議運営:金正恩が「参席」、趙勇元組織秘書が「会議を司会」
  • 審議状況:「党中央委員会第8期第9回全員会議の招集に関する問題を討議」し、「12月下旬」に召集するとの決定書を採択
  • 本年の評価(金正恩発言):「国家経済の安定的で持続的な成長推移が鮮明化し、農業と建設部門において大きな前進が成し遂げられ、特に国家防衛力強化において重大な意義を持つ事変的変革が起きたことをはじめとして、国家事業全般が確固たる発展志向性を帯び活気をもって推進されている」
  • 金正恩指示事項:「新年度計画を正確に樹立する上で提起される対策的問題(複数)に言及・」、「2023年を成果裡に結束するための事業をしっかり行うことについて強調」

 なお、本日の「労働新聞」に別途掲載されている「中央委員会政治局決定書」は、第9回全員会議の目的について、「2023年度党及び国家政策の執行状況を総括し、2024年度の闘争方向と重大問題(複数)を討議決定するため」としている。

 年末に党中央委の全員会議を開催してその年の総括と翌年の活動方針を策定するのは、2019年末以来の恒例といえる(21年初頭の党第8回大会を目前にしていた2020年は例外)。

 また、金正恩の発言に示された今年の成果に対する評価内容は、分かりやすく言い換えると、最も顕著なのが軍事力整備面での成果であり、経済分野では農業と建設(特に住宅)で具体的な成果があり、その他は、なんとか持ちこたえている、ということであろう。こうした評価は、これまでの報道ぶりなどと一致するもので、想定された内容といえる。

 やや意外なのは、会議運営に関し、金正恩が出席しているにもかかわらず、趙勇元が司会を務めたことである。これまでにも、趙勇元が金正恩の欠席した政治局会議で司会を務めたとされることはあったが、今回のような例は初めてではないだろうか(記憶違いであれば、申し訳ありません)。ただ、いずれにせよ、前述のように実質的に金正恩が会議をリードしていることに変わりはなく(着席位置も当然、トップ)、そうした「変化」の意義を余り過大に見る必要はないと考える。